研究実績の概要 |
最終年度では,これまでの研究成果をまとめて学会発表および論文執筆を行った。 研究成果として,VRを用いた360度の視覚探索課題を実施し,その際の視線の停留パターンとターゲット検出時間が背景の文脈や視覚ガイダンスによってどのように変化するかを定量的に評価した。その結果,(a)背景の文脈の顕著性マップが視線の停留パターンをある程度予測することと,(b)検出反応時間における視覚ガイダンスの効果がシステム化傾向(自閉傾向の一種)によって予測できることが示された。前者の成果は,周囲の情報の顕著性をリアルタイミングにセンシングすることで人の注意の動きをある程度予測できる可能性を示唆する。後者の成果は,ユーザの発達特性に応じて最適な視覚ガイダンスをパーソナライゼーションできる可能性を示唆する。 上記の研究成果は,今年度の認知心理学会第20回大会および電子情報通信学会ヒューマンコミュニケーショングループ(HCG2023)にて発表された。本プロジェクトに関連する学会発表およびシンポジウムでの発表は,助成期間全体で5報であった。 学術論文として,今年度はbの研究成果をまとめて現在論文執筆中であり,査読付き国際学術誌へ投稿する予定である。2023年度中の掲載を目指す。aの研究成果は2020年に査読付き国際学術誌に掲載された(Harada & Ohyama, 2020, PLOSONE)。本プロジェクトに関連する論文および技報は助成期間全体で3報であり,そのうち2報が査読付き国際学術誌に掲載された。
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