研究実績の概要 |
最終年度である2023年度には,ラフ集合理論に基づく不確実性を考慮したクラスタリング手法とその協調フィルタリング(Collaborative Filtering, CF)への応用に関する研究を推進した.本課題に関連する成果として,国内学会での口頭発表を3件,国際会議での口頭発表を3件行った.各成果の概要は以下の通りである. ラフクラスタリングの一種であるRCM法において適応的にクラスターを増減させるAdaptive Online RCM法に対し,ミニバッチ学習を導入することで,Adaptive Mini-Batch RCM法とそのCFへの応用を提案し,計算効率や推薦性能の向上を実現した.粒状性を考慮した混合多項分布型共クラスタリングであるRSCCMM法に基づくCFを提案し,従来法よりパラメータ設定が容易で,安定して高い推薦性能を実現できることがわかった.RCM法に基づくCFにおいて,アンサンブル学習を導入し,多様なパラメータ設定による複数のクラスタリング結果に基づく推薦度を統合する方式を提案し,多角的な推薦を行う手法を開発した.確率的ラフ集合理論を導入したラフクラスタリングであるPRSCM法に基づくCFを提案し,より柔軟な近似に基づいて推薦を行う手法を開発した.CFタスクにおけるデータは多数の欠測値を含んでおり,従来法では本来の値とは異なる単一の値を代入することによりデータに歪みが生じる問題があった.それに対処するため,欠測値を含む次元を無視する部分的距離戦略を採用したRCM法に基づくCFを提案した.粒状性を考慮したラフクラスタリング手法であるRSCM法においてノイズ除去機構を導入したNoise RSCM法に基づくCFを提案し,ノイズロバストな推薦を実現した. 研究期間全体を通して,多様なラフクラスタリングを提案し,CFタスクへの応用においてその実用性を確認した.
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