• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

条件付き独立な観測に基づく統計的推測の理論と実践

研究課題

研究課題/領域番号 20K19889
研究機関九州大学

研究代表者

徳田 悟  九州大学, 情報基盤研究開発センター, 助教 (50787322)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードベイズ推定 / 条件付き独立性 / 不確実性定量化 / モデル選択 / スケーリング則
研究実績の概要

本プロジェクトでは、条件付き独立な観測に基づく統計的推測における漸近理論の構築を目指すとともに、条件付き独立な観測の例である画像や時系列を対象とした実践的研究を相補的に行い、知見の利活用と問題意識のフィードバックによる研究の好循環を狙っている。今年度は漸近理論の構築と画像を対象とした実践的研究に注力した。
まず、条件付き独立な観測に基づく統計的推測において成り立つスケーリング則を導出した。ベイズ情報量規準(BIC)はデータの量や質による影響を無視できる極限での近似によって導出される。しかし、本来それらがベイズ推定にどう影響するかはBICの発見から40年以上に渡り未解明だった。研究代表者らの共同研究グループはベイズ推定と統計物理学の数学的な対応に着目し、理論解析を進めることで、計測データの量や質に対するベイズ推定のスケーリング則を初めて明らかにした。これを元にベイズ推定が計測データの質や量に応じた複数の「状態」を取り、状態毎に異なる数理モデルを最良とみなす性質を発見した。
次に、パターン形成のダイナミクスを記述する支配方程式の推定を提案した。結晶や準結晶のように長距離秩序を持ったパターンは偏微分方程式の定常解として現れることが知られている。提案では、条件付き独立な観測として得られた所望のパターンの一枚の画像から逆に、具体的な方程式形とそのパラメータをベイズ推定によって求める枠組みを示した。類似研究ではパターンの形成過程を表す時系列データを用いており、妥当性の検証もground truthがある状況で行われている。それに対し、提案ではデータは定常解となるパターン画像だけであり、検証もground truthがない状況で行っている。こうした数理的な先進性の助けもあり、dodecagonal準結晶となる3次元的構造を定常解として持つ偏微分方程式を新たに発見した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

条件付き独立な観測に基づく統計的推測における漸近理論の構築に関して、観測データの量や質に対するスケーリング則の導出に成功した。また、実践的研究を通じて、ground truthがない状況における統計的推測についての問題意識を得た。

今後の研究の推進方策

引き続き、漸近理論の構築と実践研究を相補的に進める。目的達成を目指し、知見の利活用と問題意識のフィードバックを通じて、柔軟に研究を展開してゆく。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍での出張制限などの状況の変化によるもの

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Exhaustive Analysis of Angle-resolved Photoemission Spectra Based on Bayesian Inference2023

    • 著者名/発表者名
      TOKUDA Satoru、NAKANISHI Takeshi、SATO Takafumi
    • 雑誌名

      Vacuum and Surface Science

      巻: 66 ページ: 152~157

    • DOI

      10.1380/vss.66.152

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Intrinsic regularization effect in Bayesian nonlinear regression scaled by observed data2022

    • 著者名/発表者名
      Tokuda Satoru、Nagata Kenji、Okada Masato
    • 雑誌名

      Physical Review Research

      巻: 4 ページ: -

    • DOI

      10.1103/PhysRevResearch.4.043165

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Bayesian modeling of pattern formation from one snapshot of pattern2022

    • 著者名/発表者名
      Yoshinaga Natsuhiko、Tokuda Satoru
    • 雑誌名

      Physical Review E

      巻: 106 ページ: -

    • DOI

      10.1103/PhysRevE.106.065301

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 近赤外分光を用いたコンクリート構造物の非破壊診断技術2022

    • 著者名/発表者名
      渡部愛理, 古川祐光, 皆川浩, 宮本慎太郎, 徳田悟, 水田優子, 中西毅
    • 学会等名
      第38回近赤外フォーラム
    • 招待講演
  • [備考] 計測データの量や質に対するベイズ推定のスケーリング則を解明

    • URL

      https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/852/

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi