研究課題/領域番号 |
20K19890
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柯 強 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任研究員 (70821122)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ソフトロボティクス / バイオインスパイアード |
研究実績の概要 |
本研究では,無脊椎軟体生物の柔らかい体に着目し,連続粘弾性身体を持つロボットの動きを再現することを目的としている.本年度にはロボットの制御手法に関して研究を行った.具体的に下記の通りである. ・磁場の中にゲル化された水ベース磁性流体の吸引力の検証:ロボットのロコモーションを実現するため,ゲル化された磁性流体の磁性に関して検証を行った. ・磁性粒子のサイズや流体中の添加剤から流体の特性への影響に関する考察:流体の粘度と磁性粒子の大きさはロボットのボディの硬さや吸引力への影響があるため、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムなど異なる添加剤でサンプルを試作し,性能を考察した. ・有限要素解析ソフトで磁場モデルの構築:ロボットの制御を検証するため,磁場の強度と磁性流体の吸引力の関係を考察する必要がある.本年度には磁場のシミュレーションで異なる形状の鉄芯と配置による磁力線と磁束密度を確認した. ・磁性流体よりロボットの体を作製する方針の他に,無脊椎軟体生物のミミズを着目し,ゴムライク樹脂,形状記憶金属(SMA)と水を利用して液体包骨格を備えたミミズロボットの開発も同時に行った.ミミズの筋配置を模倣してSMAの収縮と解放により柔らかいボディの軸方向を膨張したり,回復することでミミズのような蠕動運動を実現できることを確認した.異なる運動パターンで土壌を掘り進めることを評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に磁場における磁性流体のシミュレーションを中心に行う計画があったが,有限要素解析ソフト中の電磁解析部分とSPH法の統合が困難であるため,シミュレーションの開発は予定より遅れている. 同時に磁性流体の手法の他に,液体包骨格で無脊椎軟体生物を模倣するミミズロボットの開発には成功したため順調に研究が進んでいると言える.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度には磁性流体のシミュレーションの構築を継続する.ハードウェアに関して電磁石の実装と粘弾性磁性流体を統合してロボットの開発を進める.一方で2021年度に開発したミミズロボットの改善も同時に進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度にシミュレーションの開発の継続のため,有限要素解析ソフトのライセンス更新が必要である.ロボットの開発について,制御するために電磁石の実装に関する部品の購入も必要である.
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