本研究の目的は、遠隔操作と情報収集を同時に支援できる半自律移動ロボットのシステム開発を通して、物体・空間認識における注意や状況に基づく新たなロボットの知覚モジュールに関する方法論を確立することである。本年度では、昨年度確立した方法論であるGrowing Neural Gas with Different Topologies (GNG-DT)と本研究の核となる注意する対象とそれ以外の対象 に対して粗密を調整するRegion of Interest GNG(ROI-GNG)を組み合わせたロボットの3次元空間知覚の洗練化を中心に研究を行った。具体的には、昨年度まで行ってきた2次元環境地図に基づく半自律遠隔操作システムを3次元点群情報で行うために、GNG-DTで抽出された3次元形状に基づく特徴量から3次元空間を走行するための走行可能性知覚に関する方法論を確立した。GNG-DTでクラスタリングされた物体に対して、ノードの密度推定を行い、これまで固定のパラメータで行われていた密度調整を推定されたノードの密度から制御することによって、安定的にROI-GNGによってノードの密度調整が可能であることを示した。また、半自律的遠隔操作システムにおいては、3次元環境地図を提案した方法論によって位相構造を学習することで、未知の不整地環境下における半自律制御を実現し、操作者が情報収集に集中できる人にやさしい遠隔操作システムを実現した。 しかしながら、本研究において構築した走行可能性判定ではロボットの身体性を十分に考慮しておらず、どのようなロボットにも適用できる方法論の確立は実現できていない。そこで今後の課題として、これまでのロボットの成否と知覚システムの学習結果から行為を学習し、知覚の学習を行っていく自己学習や継続学習に関する方法論の確立があげられる。
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