本研究では,学習者の応用力や探求心の向上を促す学習支援である認知的徒弟理論に基づくロボットの行動モデルを開発する.また,学習者に学習支援を適切に提供するために,学習者の表情から学習者の困惑状態を推定する困惑推定手法を構築する.そして,学習者に応用力や探求心の向上を促す教育支援ロボットの実現を目指す. R4年度では,R3年度の困惑推定手法(改)と,認知的徒弟性理論に基づく学習支援法で構成される学習支援モデルを組み合わせた統合モデルを構築した.そして,統合モデルを搭載したロボット(以下,本ロボット)が大学生に与える学習効果を検証した.実験結果から,本ロボットは学習者のボタン押下によって学習支援を提供する従来ロボットと同様に大学生の応用力や探究心の向上を促す可能性を示した.つまり,本ロボットは学習者の困惑状態を的確に推定して,自律的に学習支援を提供できていることを示唆した.実際に従来ロボットと本ロボットにおいて学習支援回数や問題正答率の推移が類似していることを確認できた. また,本ロボットを中学校に導入する実証実験も実施したところ,本ロボットは中学生との共同学習を実現できる可能性を示した.しかしながら,中学生は本ロボットとの共同学習に対して,すぐに飽きてしまい,長期的な共同学習の実現は難しいことも確認できた. これより,国際会議1件,国内学会2件という成果を上げた.また,被験者実験の結果をまとめ,査読学術雑誌への投稿を計画している.
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