現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的の一つである、「複数の統計モデル統合手法の開発と適用範囲の把握」に取り組んだ。当初は、対象とする複数の物性を予測するそれぞれのモデルを単純に組み合わせることを想定していた。しかし、実際には同一の活性値(エンドポイント)であっても実験系が異なれば結果の意味は異なり、化学的に意味のあるモデルを構築するためには、一段低い段回(実験系の違い)におけるモデル構築手法を検討する必要があると判断した。この判断のもと、分子構造から50%阻害濃度を予測するモデルを、複数の実験系で取得されたデータを統合することにより構築し、そのための手法を比較検討した。結果として、適用すべき手法と共に統合のメリット(デメリット)を明らかにした(Matsumoto K, Miyao T, Funatsu K, ACS Omega 2021, 6, 18, 11964-11973)。今回の研究成果では、化合物のランキングを(エンドポイントの値ではなく)予測することがモデルの精度に照らし合わせると重要であることがわかり、それを達成するための手法としては単純なTanimot kernelを利用した回帰モデルで十分であることが検証できた。
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