研究課題/領域番号 |
20K19940
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
櫻井 淳 文教大学, 情報学部, 講師 (70711018)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | カメラ / コンピュータビジョン / 学校教育 / 身体活動量 / システム開発 |
研究実績の概要 |
本研究では,体育授業における教師の指導を支援するためのシステム開発を目的とし,当該年度では,(A)投の運動と(B)ボール運動の支援に着目した研究を遂行した. (A)投の運動の支援 本研究では,体育授業の投の運動に関する指導方法が各教師に委ねられており,児童の動作改善にまで着目した指導が十分になされていない現状に対して,カメラを用いた投げの運動の解析手法の考案と,そのプロトタイプを開発した.そして,その開発システムを用いて,実際に小学校のソフトボール投げの撮影実験を行った結果を分析し,投能力向上に影響を与える要因を一定程度明らかにした.これらの知見をもとに,アルゴリズムの修正や分析結果の可視化システムの開発をさらに進め,教師の指導支援に向けた取り組みを行っている. (B)ボール運動の支援 本研究では,活動量計を用いてフラッグフットボールなどのボール運動の授業で児童の身体活動量を把握する取り組みが行われているが,より安価で簡易に活動量を測定する仕組みが求められている現状に対して,カメラを用いた単一物体の移動軌跡生成システムを開発した.そして,ドローン搭載カメラによる自転車の撮影実験により単一物体の移動量を推定できることを明らかとした.また,ドローン搭載カメラを用いた高等学校部活動のボール運動の撮影実験を行った.これらの研究をさらに発展させ,複数の児童の活動量を可視化するための取り組みを行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である体育授業における教師の指導を支援するためのシステム開発の実現に向けて,当該年度は,カメラを用いた投げの運動の解析システムと,カメラを用いた単一物体の移動軌跡生成システムのプロトタイプをそれぞれ開発した.また,カメラを用いた投げの運動と物体追跡の撮影実験の分析により,それぞれのシステムの一定の活用可能性を示した.これらのことから,カメラを用いた体育授業の支援のためのプロトタイプを開発できたために,本研究は順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,「複数の体育授業における投げの運動の撮影実験と分析」,「カメラを用いた投げの運動の解析結果の可視化システムの開発」,「AIを活用した児童の全体およびグループ単位の身体活動量の測定手法の考案」の3つの研究を実施予定である.これらの研究の遂行により,体育授業の投げの運動やボール運動において,教師の指導方法の評価や改善のための一助となるシステムの開発を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては,当初計画において昨年度に購入予定であった実験用備品の購入を一部見送ったことが主な要因である.このため,昨年度に購入を見送った物品を当初計画通り購入する.また,当初計画どおり,撮影実験の補助,撮影したデータの編集,教師データの作成や考案手法の精度検証などの作業が必要なため,研究補助の人件費として使用する.
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