研究実績の概要 |
本研究は,モデリングおよびプログラミングを行う開発環境とデジタル教科書を統合し,各部における学習者の活動ログを統一的に蓄積,分析可能な学習基盤を開発し,資料閲覧を中心とした基礎知識の習得に関する学習活動と実践的な技能習得の過程が相互に及ぼす影響を明らかにすることを主たる目的として実施した. 本研究の1,2年度については,各種学習ログ収集を可能にするためのツール群の開発と試験導入を中心に実施した.既存のクラス図作成ツールの拡張に加え,新規にデジタル教科書とプログラミング学習用の演習課題管理システムを開発した.また,プログラミング用IDEから操作ログを収集するプラグインを開発した. 2年度目中頃から3年度目については,クラス図作成ツールとデジタル教科書の学習ログを活用し,ペアで議論しながら行うモデリング演習における教科書の閲覧パターンと成果物の改善の関係を調査した. 3年度目後半と最終年度には,複数の学習環境から収集されたデータを統合して活用した学習支援手法の検討とそれを実装したプロトタイプの開発と評価を行った.開発したプロトタイプは,デジタル教科書の閲覧ログと演習課題管理システムの学習ログに注目し,学習者が新規の課題に取り組む際に,その課題のその学習者にとっての難しさを予測して提示する機能を持つ.また,過去に解答した課題の性質と教科書の閲覧データから,新規の課題に取り組む前に実施するべき学習活動を提示することができる.これらにより,適切な難易度の課題への取り組みを促し,つまづきを低減することが示唆された.
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