研究課題/領域番号 |
20K19947
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
植村 あい子 日本大学, 文理学部, 助手 (00707862)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自動作編曲 / 和声解析 / 作曲支援 |
研究実績の概要 |
2020年度はユーザがハーモニーの響きを手掛かりに楽曲生成ができる簡便なインターフェース作成に向けて、楽曲データの音響分析とモデル構築に取り組んだ。主な研究成果を以下に挙げる。 ・初心者がハーモニーの響きを手掛かりに簡単に楽曲生成ができるインターフェース作成に向けて、リハーモナイズされた楽曲を用いてモデルの構築と楽曲生成を行った。本研究では、和音進行のスタイルを操作するのにVariational Autoencoder (VAE)の潜在空間に着目した。今年度は生成モデルの性能改善を一番の目標とし、ハーモニーで重要である和音の時間方向の接続とリハーモナイズで解決すべきメロディの制約に取り組む方向で進めた。提案モデルでは従来法より標準的ではない和音や不協和音の割合が低くなり、性能の改善を確認した。この潜在空間を可視化することで、ユーザがプロットされた和音進行を参考にして好みの進行を探索するシステムに応用できると考えている。 ・ポピュラー音楽のピアノ譜面からバラード風の編曲を行うシステムを提案した。市販のピアノ本から100曲のバラードアレンジを分析し、分散和音や音符削減などのバラードアレンジルールを設計した。実験結果により本システムがバラードらしさを高めることができることを確認した。これにより、音楽知識のないユーザも原曲とは異なるバラードスタイルの編曲を行うことが可能になる。 これらの成果はThe 2020 Joint Conference on AI Music Creativity(査読付き国際会議)で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究資産を活かし、提案モデルの改善を確認しながら開発を進めている。上で述べたように、2020年度投稿目標としていた査読付き国際会議で採択され、順調に成果が得られていると考える。一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言で機器購入手続きと主観評価実験が遂行しにくい状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に取り組んだ内容を拡張する方向で引き続き進める。今後はモデルの性能改善とインターフェース作成を並行して検討を進める。2020年度にはモデルについて時間性の考慮を重点的に進めたので、今後はメロディとの兼ね合いやヴォイシングといった同時性について協和性を考慮しながら取り組む予定である。 統計情報を抽出できるソフトウェアによる客観評価だけでなく、音楽理論の専門家による主観評価も取り入れ、フィードバックとして活用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言で機器購入手続きと主観評価実験が遂行しにくい状況となった。旅費として計上していた国際会議参加分もオンライン開催に伴い大幅な減額となった。今後は機械学習の活用に向けて楽曲データの拡充とGPUによる学習環境構築の整備を進め、評価実験にも取り組み、研究成果の確保に注力する。
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