研究課題
新型コロナウイルス感染症とロシア・ウクライナ国際情勢の影響により、当初予定していた東シベリアでの現地調査を研究期間中に実施することができなかった。そのため、研究計画を変更し、樹木年輪国際データベース(ITRDB)に登録されている東シベリア(60<N, 120<E<150)の33サイトを対象としたデータ解析を進め、過去の極端気象の季節ごとの観測頻度と、その際の樹木成長量減少量やそこからの回復過程について調べた。過去に観測される季節ごとの極端気象(極端な高温・低温・大雨・少雨)は、観測ベースの気温・降水量時系列データ(Climate Research Unit 0.5°月平均グリッドデータ)を用いて、過去120年間の平均値からの外れ具合(>2σ)で検出した。また、ITRDBに登録されている樹木年輪幅時系列から成長量減少イベント(サイト内の70%以上の個体の成長量が過去5年間の平均成長量から30%以上減少した年)を推定した。成長量減少イベントの要因となる気象要素は、西部では大雨、東部では低温が優占的であった。また、将来の衰弱・枯死リスクと関連している可能性が指摘されている回復力(減少量で重みづけしたイベント前後5年間の平均成長量の比)についても、東西差が観測され、東部に比較的低い値を示すサイトが集中的に分布していることが明らかとなった。また、中央シベリア・極東シベリアのサイトとの比較において、東シベリア東部のサイトの回復力の低さはより顕著であった。本成果は、東シベリアにおける極端気象に対する樹木応答・脆弱性についての理解を深め、将来の気候変動下における森林動態予測高度化への貢献が期待される。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Journal of Geophysical Research: Biogeosciences
巻: 128 ページ: e2022JG007135
10.1029/2022JG007135
Biogeosciences
巻: 20 ページ: 3185-3201
10.5194/bg-20-3185-2023