福島第一原子力発電所事故により森林に沈着したCs-137は、空間的不均一性が非常に高いことが知られている。本研究では、その要因として土壌中の選択流に着目し、染料トレーサーを用いた人工降雨実験と土壌の理化学性分析等を実施した。 人工降雨実験の結果、染色部では非染色部と比較して有意にCs-137濃度の分散が大きく、濃度も高い傾向にあった。とくに10-15 cm深では、Cs-137濃度と飽和透水係数・孔隙率との間に正の相関が、仮比重との間に負の相関が認められた。交換態Cs-137濃度についても同様であり、当初の仮説通り、選択流によってCs-137の空間的不均一性と可給性が高くなることが示された。
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