本研究では、放射線による炎症反応が引き起こす組織微小環境の変化は、乳腺の発がんに影響するか否かを検討した。 炎症細胞が多く存在する間質組織と乳腺上皮をラット乳腺の組織切片および透明化組織により区別する手法を確立し、炎症細胞(CD68陽性マクロファージ)は乳腺間質に存在することを確認した。放射線被ばく後の分子メカニズム解明のためRNAシーケンスを行い、放射線照射は乳腺上皮細胞の分化を抑制する他、炎症系因子を活性化させることを示唆するデータを得た。今後、放射線によって誘導される炎症と乳腺上皮細胞の分化異常の関連性、さらにそれが発がんにどのように寄与するのかを検証する。
|