研究課題/領域番号 |
20K19983
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
田上 瑠美 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 助教 (60767226)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 網羅分析 / サスペクトスクリーニング分析 / LC-QToF-MS/MS / 表層水 / 水生生物 / 環境汚染物質 |
研究実績の概要 |
本研究では、国内およびアジア途上国の水圏環境を対象に、高感度分析が可能な液体クロマトグラフ-四重極型質量分析装置(LC-MS/MS, Sciex QTRAP 5500)と高分解能分析が可能な液体クロマトグラフ-四重極飛行時間型質量分析装置(LC-QToF-MS/MS, Sciex X500R)を用いたターゲット分析・サスペクトスクリーニング分析を試み、アジア途上国の表層水と水生生物に残留する人工汚染物質を網羅的に解析する。 今年度は、インド、インドネシア、タイ、ベトナムの表層水試料をLC-QToF-MS/MSを用いた化学分析に供試し、医薬品類、農薬類、工業由来物質など484物質のサスペクトスクリーニングを実施した。測定された分子量関連イオンピークの精密質量、同位体パターン、MS/MSスペクトルデータを標準品のデータ(AIQS-LCライブラリーを使用)と照合することにより、定性を試みた。その結果、Carbendazim(農業用・工業用防カビ剤)、1H-Benzotriazole(防錆剤)、4(or5)-Methyl-1H-benzotriazole(防錆剤)、Sucralose(人工甘味料)は、測定した全ての表層水試料から検出された。また、Diuron(除草剤)、Tebuconazole(農業用殺菌剤)、Losartan(医薬品類)、Sulfamethoxazole(医薬品類)、Sulfapyridine(医薬品類)、Theophylline(医薬品類)、Clarithromycin(医薬品類)、Diclofenac(医薬品類)、Diphenhydramine(医薬品類)、Lidocaine(医薬品類)、Sulpiride(医薬品類)の残留も確認され、検出率は80%以上を示した。 次年度は、SCIEX All-In-One HR-MS/MS Library Version 2.0 with NIST 2017に登録されている2218物質を対象に、表層水試料と水生生物試料をサスペクトスクリーニング分析に供試し、未規制の環境汚染物質の網羅的解析を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染拡大防止として、研究室での勤務時間の削減、在宅勤務時間の増加により、実験、機器測定、データ解析が当初の予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年延長した。遅れている実験・機器測定・データ解析を今年度に必ず完了し、成果をまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響により研究が遅れているため、物品費の支出が予定より少なくなった。また試料採取のためアジア途上国への渡航を予定していたが、コロナの影響により見送ったため、旅費は発生しなかった。残額は次年度に繰り越し、必要に応じて使用する予定である。
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