研究課題
高リスク環境汚染物質である多環芳香族炭化水素類(PAHs)とハロゲン化PAHs(XPAHs)は、様々な環境試料から広く検出されたが、特に後者の発生源、環境挙動や毒性等のごく一部しか解明されていないため、継続的な発生源調査、環境汚染モニタリングおよび有害性評価が必要である。有害性の面について、PAHsは生体内で代謝され水酸化PAHsなどに変換して毒性を示すこと、および塩素化PAHs(ClPAHs)の化学構造と類似しているポリ塩化ビフェニル(PCBs)は、生物代謝により一部が水酸化PCBsとなることが知られている。ClPAHsも同様に生体内で代謝され、水酸化ClPAHs(OH-ClPAHs)となる可能性が考えられるが、標準物質の欠如により、OH-ClPAHsに関する情報がほとんど明らかでない。本研究では、合計72種類のPAHs(29種類)とXPAHs(43種類)を対象物質として、カラムの分離性能を評価した上で、ガスクロマトグラフ-トリプル四重極質量分析計(GC-MS/MS)を用いて高感度分析法を開発した。また、世界中においても大気が最も汚染されている地域の一つであるバングラデシュ、および日本を調査地域として、PM2.5-bound PAHs・XPAHsの汚染実態を調査し、その発生源解析を行った。さらに、PM2.5-bound PAHs・XPAHsによるヒトの発がんリスクを評価した。加えて、OH-ClPAHsの標準物質の新規合成を行った。合成した標準物質を用い、OH-PAHs、OH-ClPAHs、およびこれらの前駆物質であるPAHsとClPAHsを含めて、in vitro試験による毒性の評価を行った。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
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