研究課題
当研究課題では、原油分解硫酸還元細菌の有望グループとしてDesulfosarcina属細菌群に着目した研究を行っている。また本課題では、硫酸還元-パラキシレン完全分解経路を解明してメタ・オルトキシレンやトルエン分解経路との違いを明らかにすることを一つの目的としている。当該年度の研究成果として、国際誌Systematic and Applied Microbiologyにおいて新規硫酸還元細菌の新亜種記載論文を発表した[Proposal of Desulfosarcina ovata subsp. sediminis subsp. nov., a novel toluene-degrading sulfate-reducing bacterium isolated from tidal flat sediment of Tokyo Bay. Watanabe et al. 2020; 43(5) 126109]。ここではこのDesulfosarcina ovata新亜種を新規のトルエン分解硫酸還元細菌として記載している。一方で、最近縁株となるDesulfosarcina ovata基本種はキシレンおよびトルエン分解性であることがすでに先行研究により判明している。このことから、今後Desulfosarcina ovataの2亜種における代謝比較解析を行うことで、嫌気的原油分解におけるトルエン・キシレン利用性の分化や多様性を明らかにできることが期待できる。
2: おおむね順調に進展している
本研究課題の中心となるパラキシレン分解株の機能解明については予備となる培養実験を行い、良好な結果を示している。前項で著したとおり、新規のトルエン分解株をDesulfosarcina ovataにおける新亜種として提唱することに成功していることからも、本課題の進捗状況をおおむね順調であると判断する。
2021年度においては、本研究課題の軸となるパラキシレン分解硫酸還元細菌株について複数条件下でのトランスクリプトーム解析を行い、未知の原油成分分解経路において発現する遺伝子の特定を行う。また、代謝において生成する中間代謝産物の特定をガスクロマトグラフィー質量分析計によって行う。
参加予定であった学会大会がオンライン大会であったため、旅費分の余剰が生じ次年度使用額が発生した。2021年度においては、請求する助成金と合わせて外部機関への分析委託費用に用いる。
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