本研究では特別管理廃棄物である一般廃棄物焼却飛灰からの鉛の溶出量を抑制させるため、不溶化材として非晶質シリカであるもみ殻灰の有効性を検討した。 はじめに、もみ殻を電気炉で1時間焼成し、焼成温度を300℃、500℃、700℃と変えることでポゾラン活性(水酸化カルシウムとの反応性)が異なるもみ殻灰を調整した。飽和水酸化カルシウム水溶液へもみ殻灰を添加し、電気伝導度の変化によってポゾラン活性を測定した結果、より低い温度で焼成したもみ殻灰ほど高いポゾラン活性を示した。 焼却飛灰へもみ殻灰を添加して高温条件下で湿潤養生を行った後、廃棄物に含有する有害物質の溶出性を評価し、廃棄物最終処分場への埋立判定可否を判定するための溶出試験に供した。その結果、500℃ならびに700℃で焼成したもみ殻灰を10 wt%添加した場合、14日間の養生を行うことで鉛の溶出量を埋立判定基準以下(0.3 mg/L)まで抑制できることを見出した。一番高いポゾラン活性を示した300℃で焼成したもみ殻灰については、鉛の溶出量を埋立判定基準以下まで抑制することはできなかった。 もみ殻灰と焼却飛灰の湿潤養生によって生成するケイ酸カルシウム水和物の物性が鉛の溶出量抑制に影響を及ぼしていると考え、養生後における焼却飛灰の比表面積を測定した。その結果、500℃あるいは700℃で焼成したもみ殻灰を添加して養生した焼却飛灰の比表面積は300℃で焼成したもみ殻灰を添加した場合よりも高く、比表面積の違いが鉛の溶出量抑制効果に影響を及ぼしていることを確認した。 本研究の結果から、非晶質シリカを含有するもみ殻等は焼却飛灰の不溶化材として利活用できる見込みが示され、セメントよりも添加量が少なく済む新しい不溶化技術としての可能性が示唆された。
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