研究課題/領域番号 |
20K19994
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
利谷 翔平 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80725606)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 活性汚泥 / 炭化物 / アンモニウム / 吸着 |
研究実績の概要 |
養豚排水を模擬した排水を処理する活性汚泥リアクターに、稲わら炭化物(300℃および600℃で調製)を添加した際の排水処理性能を評価した。アンモニウムの除去速度は、300℃の炭化物を添加したリアクターは炭化物無添加とほぼ同等だったが、600℃の炭化物を添加すると3倍に増加した。そのため、高温で調製した炭化物はアンモニウム除去に有効であることがわかった。アンモニウムの吸着試験より、除去されたアンモニウムのうち、吸着によるものは300℃と600℃でそれぞれ30%および15%程度であることが示された。そのため、吸着以外の現象(硝化脱窒の促進、アンモニアガスの揮散)が炭化物によって促進されたものと考えられた。 試験終了後の炭化物混合汚泥に含まれるアンモニウム濃度は、炭化物無添加の活性汚泥に比べ、300℃および600℃の炭化物添加系において約1.5および3.8倍であり、炭化物の添加により炭化物混合汚泥へのアンモニウム保持が促進された。一方、炭化物混合汚泥中の炭化物に含まれるアンモニウムの割合は、300℃および600℃それぞれで40%および90%と推定され、炭化物への吸着がアンモニウム保持を促進していることがわかった。 興味深いことに、投入した炭化物に比べ、炭化物混合汚泥中のカリウムおよびナトリウム濃度はそれぞれ減少、増加した。そのため、アンモニウム以外の栄養塩の流出や塩類の蓄積濃縮なども含めた物質収支も評価する必要性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
炭化物を投入することにより、排水からの窒素除去性能の向上を確認できたため。また、排水から炭化物へのアンモニウムの吸着を確認できたため。
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今後の研究の推進方策 |
活性汚泥法では硝化・脱窒やばっ気におけるアンモニア揮散による窒素の除去により炭化物へのアンモニア回収量が低くなることが考えられた。そのため、窒素除去が起こらないメタン発酵による養豚排水処理方法への炭化物の適用と栄養塩回収も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により研究室の立ち入りが制限され、実験量が減ったために2020年度の支出額が減り、次年度使用額が生じた。 次年度はメタン発酵を用いた試験も実施予定なので、その分のリアクター構築費として計上する。
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