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2023 年度 実施状況報告書

超音速粒子衝突による光触媒酸化チタン粒子の固定化

研究課題

研究課題/領域番号 20K19998
研究機関久留米工業高等専門学校

研究代表者

渡邊 悠太  久留米工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (20791461)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード酸化チタン / 光触媒 / ショットコーティング法 / 固相成膜
研究実績の概要

従来,セラミックス材料の成膜にはプラズマ溶射が用いられてきたが,これは材料の溶融を必須とする.酸化チタンにこれを適用すると熱的相変態を起こしてしまう.そこで非加熱プロセスであるショットコーティング法に着目した.ショットコーティング法とはショットピーニング法を応用した成膜法である.ピーニングメディアを基材上に付着させることで皮膜を作製する.本研究ではショットピーニング法と同様に固体の粒子を衝突・付着させることで皮膜を作製するプロセスであるコールドスプレー法において成膜が報告されている凝集酸化チタン粉末を用いてショットコーティング法による成膜を行い,ショットコーティング法が酸化チタン成膜プロセスとして適用可能か調査した.
ショットコーティング法を用いて酸化チタン成膜を行った結果,以下の知見を得た.1)凝集酸化チタン粉末を用いることでショットコーティング法により純アルミニウム(A1000),無酸素銅(C1020),炭素鋼(S45C),ポリ乳酸(PLA)基材上に皮膜を作製できた.付着効率は0.3-0.6%であった.2)炭素鋼(S45C)基材は純アルミニウム(A1000),無酸素銅(C1020)基材に比べ酸化チタンが容易に付着するが皮膜成長に伴い剥離を生じる.これは硬い基材に粒子が衝突することで粒子の変形が促進され付着しやすくなるが,基材の変形が限定的であるため基材-皮膜間の結合強度が低いためであると考えられる.3)ノズルを基材に対して傾けることで付着に至る粒子のノズル半径方向の分布が変化する.したがってノズルと基材の位置関係を最適化することで付着効率を向上させることができることが示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

低圧コールドスプレー装置の導入ができず類似プロセスであるショットピーニング法を使用することとなったため,実験環境の構築に時間を要した.
コールドスプレー法の類似プロセスであるショットコーティング法における検討を行ってきたがコールドスプレー法にくらべ材料に与えることのできるエネルギーが少ないこともありコールドスプレー法にくらべ付着効率が低く密着強度の測定には至っていない.しかし,ノズルと基材の位置関係を最適化することで付着効率を向上させることができることが示唆されている.ショットコーティング法はコールドスプレー法に比べ,イニシャルコスト,ランニングコストともに安価でありショットコーティング法によって光触媒用酸化チタンのバインダーレス固定化技術の開発に成功すればその産業的意義は大きい.

今後の研究の推進方策

触媒用酸化チタンのバインダーレス固定化技術の開発を当初のコールドスプレー法用いた方法から変更しショットコーティング法による検討を行ってきた.ショットコーティング法により高い密着強度の厚膜を形成するには至っていないが,光触媒反応は表面反応であるため基材表面に均質に酸化チタンを付与できれば厚膜形成は不要である.
これまでの取り組みにより膜厚50μm程度の均質な皮膜の作製成功しているが,溶射法で一般的な引張密着強度の評価には皮膜厚さとして100μm以上が必要となるため,厚膜化のための付着効率の向上が必要である.これまでの研究結果よりノズルと基材の位置関係を最適化することで付着効率を向上させることができることが示唆されており,ノズル半径方向の粒子速度分布とノズル角度による基材活性化の度合いについて検討を行い酸化チタン皮膜の厚膜化を目指す.

次年度使用額が生じた理由

2020年度に導入を予定していた低圧型コールドスプレー装置が販売代理店廃業に伴い導入困難となったためその額が繰り越されている.2021年度に後継となる代理店ができたもののロシア製の装置であることから現在の社会情勢では導入は絶望的な状況である.
着目するプロセスをコールドスプレー法からショットコーティング法に変更したため,ョットコーティング成膜環境構築のため使用する計画である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 非加熱コールドスプレーを用いた酸化チタン成膜2024

    • 著者名/発表者名
      渡邊悠太
    • 学会等名
      一般社団法人日本溶射学会 九州支部 令和5年度研究会
  • [学会発表] ショットコーティング法を用いた酸化チタン皮膜の創製2023

    • 著者名/発表者名
      渡邊悠太
    • 学会等名
      一般社団法人日本溶射学会第117回(2023年度春季)全国講演大会

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公開日: 2024-12-25  

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