研究課題
若手研究
本研究では、森林での落葉多様性が分解速度を促進させるプロセスを明らかにするために、野外で樹種組成と微生物群集の関係の把握し、室内での落葉混合のマイクロコズム試験を行った。その結果、コメツガやスギなどの針葉樹の落葉では、落葉多様性が増加しても分解率は促進しなかったが、カエデ属の落葉では、分解者微生物のニッチ相補性により分解が促進することを明らかにした。
微生物群集生態学
本研究の成果は、森林土壌における「生物多様性-生態系機能」の関係の理解に大きく貢献する。また、森林では複数種の樹木によって構成されるが、気候変動に伴う森林の炭素動態の予測モデルは、通常、落葉分解に関する情報は単独状態での落葉の分解データしか組み込まれていない。そのため、本研究の成果は、森林生態系の炭素動態の予測においても重要な知見となる。さらに、人工林の広葉樹林化・針広混交林化などの多様性を考慮した森林整備での、土壌生態系への影響解明など応用的な研究への発展に貢献すると考えられる。