研究課題/領域番号 |
20K20008
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研究機関 | 白梅学園短期大学 |
研究代表者 |
宮崎 佑介 白梅学園短期大学, 保育科, 准教授 (10721631)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 遊漁 / 魚拓 / 釣り / 市民 / 博物館 / アオギス |
研究実績の概要 |
釣具・釣船店から収集した魚拓情報が過去の生物多様性情報として機能することを示す論文を『Fish Diversity of Japan』の第24章として公表した。この論文では、魚拓・標本・写真資料の比較に基づき、鱗数が識別に重要な分類群では魚拓のみからの種同定が可能であることを示すとともに、釣り雑誌において東京湾産アオギスの個体群絶滅を示唆する記事をご覧くださった読者より寄贈された千葉県大貫で1966年に釣獲されたアオギスとしては現時点で最古となるカラー写真も紹介した。また、2021年8月30日に初めての翻刻アプリ「みを(miwo)」が公開されたため、これを活用して山形県内の4博物館施設に保管されている魚拓資料の翻刻を試み、属性情報の抽出と整理を行っているところである。 釣り雑誌の分析を進める調査においては、関東の沖釣り情報を取り扱う隔週刊つり情報社よりバックナンバー情報を快く提供いただけることになり、研究の方針等の共有を関係各位と進めた。また、水土舎の本間俊輔氏より修士論文のデータ共有をいただき、釣り雑誌から得られる情報の発展的な解析方法についても検討を進めた。 遊漁者の市民から寄贈いただいたサケ科魚類の写真データ及びその属性情報データの合計15,427ファイル(1,872フォルダ)を科学研究へ活用のために再検証可能な形に整えるために、神奈川県立生命の星・地球博物館の魚類写真資料データベースへ登録を完了することができた。 得られた機会を普及・教育的な観点から調査研究へ関連付ける試みも行い、市民データを活用した図鑑の監修や、東京都レッドデータブックの評価選定にあたって市民によって提供された情報を活用を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に伴う移動制限の直接的な影響を受け、予定していた出張をしばしば取りやめることになった。同様に間接的な影響として、オンライン授業と実習対応等による本務に時間をとられ、2020年度に続き、調査研究へのエフォート率を十分に確保することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
過去の魚拓情報と釣り雑誌のバックナンバーの情報整理を進め、釣獲された個体と環境変動等との経時的な変化の解析を行うことで、データの質の検討やさらに活用可能な研究への発展を試行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
主にコロナ禍による直接的・間接的な影響を受け、2020年度に続きエフォート率を十分に確保することができなかったため。 2022年度は作業効率化のための謝金としての使用、またこれまでに実施できていない調査の旅費や物品費として主に使用する。
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