研究課題/領域番号 |
20K20010
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研究機関 | 国際連合大学サステイナビリティ高等研究所 |
研究代表者 |
西 麻衣子 国際連合大学サステイナビリティ高等研究所, サステイナビリティ高等研究, Research Fellow (20540082)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 農地ガバナンス / 自然共生社会 / 社会変容 / コモンズ / 価値観 / 人間の福利 |
研究実績の概要 |
本研究は、社会変容プロセスにおいて、自然資源権利者の価値観が農地ガバナンスの構築にどのような影響をもたらしてきたかを解明することにより、自然共生システムのガバナンス構築プロセスにおける関係主体の価値観の役割を明らかにすることを目的とする。農地を中心とする多層的な自然共生システムを新たなコモンズと捉え、日本・フィリピンの農村コミュニティを主な対象として国際制度比較を行うことにより、コモンズ論と社会変容論の拡充を試みる。 2021年度は、2021年度に引き続き、日本の第二次世界大戦後70-80年間を対象とした、文献レビュー、アーカイブ調査、記述統計学的分析に基づき、農地の所有・利用に係る制度変遷の調査を継続して行った。また、イフガオ棚田評価国際サミット2022(2022年3月18, 22, 25, 29日)にオンライン参加し、フィリピン・イフガオ州における農地ガバナンスの構造変化について情報収集するとともに関係者との情報交換・議論を行った。さらに、石川県の加賀・能登地方における農地ガバナンスの構造変化の事例調査に向けて、農村集落の事前調査・分析を進めた。石川県の加賀・能登地方における農村集落の事前調査・分析の結果については、それぞれAssociation of Collegiate Schools of Planning (ACSP)第61回年次大会およびEcosystem Services Partnership (ESP)第3回アジアフォーラム で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の影響下における所属機関の方針に基づき、年間を通じてフィールド調査の実施が不可能であり、国内およびフィリピンにてフィールド調査ができなかったため、当初予定していた研究計画より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の影響が低いレベルで安定化し、フィールド調査地での訪問者受け入れ態勢が許せば、当初予定していたフィールド調査を限定的な形(サイトおよび対象者数の縮小)で実施する予定である。ただし、フィールド調査の実施可能性に係る不確実性を考慮し、引き続き、石川県の加賀・能登地方およびフィリピン・イフガオ州の関係者とのオンラインでの情報交換・議論を進める。また、縮小せざるを得ないフィールド調査を補完すべく、日本およびフィリピンの農地制度の変遷について拡張的に文献レビューを進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:フィールド調査実施のための費用(旅費・人件費)および海外学会における研究成果発表のための旅費を計上していたが、新型コロナウィルス感染症の影響により、フィールド調査が実施できず、また、海外学会の年次大会もオンラインでの実施に変更になったため。 使用計画:規模を縮小したフィールド調査実施のための費用に加え、代替的に設計・実施するオンラインでのサーベイ、インタビューのための費用(現地関係者の人件費・謝金)が必要となると想定される。また、補足的な知見収集のための費用(専門家ヒアリングの実施、追加的資料購入)が必要となる。さらに、研究計画変更の伴う補助事業期間の延長を検討している。
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