サプライチェーンの国際化に伴い産業活動が資源生産国に誘発する影響への注目が高まっている。資源採掘に伴う影響を軽減するために効果的な対策を議論するためには、資源の選択やサプライチェーンと影響との関わりを明らかにした上で、その中で対策を講じる上で重要となるポイント(ホットスポット)を特定することが必要である。 一年目は、多地域産業連関表によるグローバルサプライチェーンを通じて消費国が資源生産国に誘発する資源採掘量の分析と、その影響低減に向けた対策の特定に向けた要因分解分析を行った。二年目は、資源採掘・生産に伴う影響の分析として、資源採掘に伴う温室効果ガス排出量に着目して、将来の資源採掘に伴う温室効果ガス排出量と気候変動目標との関係についての分析を行った。最終年度となる本年度では、天然資源採掘が引き起こす資源枯渇の評価を行った。主要6資源 (鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、鉛、亜鉛) を対象に、資源需要の将来予測と物質フロー分析によるリサイクルポテンシャル評価に基づいて、将来に世界で新たに必要となる天然資源採掘量を推計し、地球上の総資源量と組み合わせることで、将来要素を考慮した中長期的な視点からの新たな資源枯渇性評価指標を開発した。以上の研究成果は、将来における資源の利用可能性を環境制約と枯渇性という2側面から評価したものであり、さらにグローバルサプライチェーンの分析と組み合わせることで資源消費国の責任の可視化とその軽減に向けた議論を支援するものである。
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