研究課題/領域番号 |
20K20015
|
研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
藤原 遥 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (50845352)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 環境被害 / 復興財政 / 福島原発事故 |
研究実績の概要 |
本研究は、福島原発事故対応の国の財政支出が、地域や住民が受けた被害に対して十分に対応してきたかを分析し、国の財政支出の問題点と、被災地域や住民のニーズに即した財政制度のあり方を示すことを目的として展開された。 研究初年度である本年度は、①福島原発事故被害に対応する国の財政支出の全体像を捉えるために資料収集、②国の財政支出の被害対応状況を解明するための分析手法の検討、を中心に研究を進めた。 ①については、東日本大震災復興特別会計の所管府省庁等に対して情報公開請求をして、2011年度予備費と補正予算と同会計の2012から2019年度までの財政資料を入手した。財政資料の詳細を調べるために、電話やメールを通じて、担当府省庁に聞き取り調査を実施した。集めたデータは、一定程度整理する作業を行った。 ②については、環境問題や自然災害をあつかった環境経済学や財政学の分野における国内外の理論的かつ実証的な先行研究の文献調査を重ねて、分析手法の検討をした。具体的には、環境経済学や財政学の知見を踏まえながら、被災地域における被害の実態、および担当府省庁が東日本大震災復興特別会計を財源に実施している事業の内容、を基礎にして財政支出を分類・類型化する独自の分析手法を確立した。 以上のように、福島原発事故被害に対応する国の財政支出を分析するために必要な準備は順調に進んでいる。今後は、入手した財政資料を用いて分析を行なっていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度における上記2つの研究については、順調に進んでいると考えている。 東日本大震災復興特別会計に関する詳細な資料を入手することができ、資料に関する理解も深まった。 幅広い分野の文献を入手して検討を行い、分析手法を確立した。 全体像の把握は2021年度の課題であるが、復興財政の諸制度のうち、企業立地補助金および除染に焦点をあて、雑誌論文を1本、図書1本にまとめた。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度は、(1)福島原発事故被害に対応する国の財政支出の全体像および特徴を明らかにするために、昨年度に入手した財政資料を用いて分析を行い、(2)復興財政の諸制度の運用実態を把握するために被災自治体に聞き取り調査をする予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に予定していた東日本大震災復興特別会計の所管府省庁等へのヒアリング調査が、新型コロナウィルスなどで実施できず、電話やメールで代用した。その旅費相当の使用額を次年度に繰越した。次年度の現地調査に使う予定である。
|