研究課題/領域番号 |
20K20018
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
芳賀 大地 鳥取大学, 農学部, 助教 (10776438)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 森林管理 / 市民 / 責務 / 多面的機能 |
研究実績の概要 |
一般市民における森林管理の責務に関する意識調査を郵送法によるアンケート票調査によって行った。対象地域は岡山県真庭市及び岡山市北区である。いずれも旭川流域に属し、真庭市は林業が活発な川上地域、岡山市北区は都市的な川下地域としての位置づけである。 アンケート票はAHP(階層分析法)に基づいて設計し、日本郵便のタウンプラスサービスを利用して、岡山市北区には1697通、真庭市には1680通送付した。内閣府の森林と生活に関する世論調査を参考に、森林の働きを(1)多様性保全:様々な野生動植物の生育する場としての働き(2)温暖化抑制:二酸化炭素を吸収することによって地球の温暖化を抑える働き(3)災害抑制:洪水や土砂災害の発生を抑える働き(4)水の資源化:雨が川へ流れるのを緩やかにしたり、水質を改善したりすることで、水を使いやすくする働き(5)保養・遊び:森林浴や避暑といった保養の場や、アウトドアや観光といった遊びの場としての働き(6)文化・教育:伝統文化を継承する場や、教育の場となる働き(7)林産物生産: 木材やキノコ、山菜といった林産物を生産する働き、の7つに整理した。質問ではこの7つの働きの優先度を質問した。さらに、森林管理の主体として、(1)林業事業体:植栽や伐採などの作業を主業としている個人や企業、団体(森林組合など)(2)森林所有者:(1)に含まれず森林を所有している個人や企業、団体(3)自治体:市区町村と都道府県(4)国(5)一般市民:上記以外の仕事として森林に関わっていない一般成人、の5つの主体を設定し、森林の働き毎に責務の大きさについて明らかになるよう質問を行った。 アンケート票の回収と電子データ化までが終了し、今後は分析に当たる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
郵送法によるアンケート票調査は概ね予定通り配布と回収まで実施することができた。一方で、分析の着手については予定より遅れている。 当初は対外調査ができないコロナ禍下において検討していたインターネットアンケート調査会社を利用した調査も同時に計画し、契約に向けて進めていたものの、直接AHPに適合可能なインターフェースが無く、何らかの対処が必要なことが判明した。対処方法については発見したものの、非常に工数がかかるため、当該調査会社を利用することも含めて再検討中である。また、この検討のため分析についても着手が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
アンケート調査結果をAHPにより分析し、一般市民が重要だと考える森林の働きについて明らかにする。また、働き毎の管理の責務の比重についても一般市民の意識を明らかにする。その際に、森林地帯で林業の盛んな真庭市と、政令指定都市である岡山市の結果を比較分析することで地域特性毎の傾向を明らかにする。また、可能であればインターネットアンケート調査会社を利用して全国的な傾向とも比較する。 また、管理に関して、林業事業体に対して聞き取り調査を行い、林業事業体が森林所有者の管理意識に与える影響についても明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究初年度からコロナ禍に見舞われたため、当初の研究計画の見直しを行うなど2年間研究の進捗が停滞していた。そのため、全体として2年分の遅延が生じている。延長分の研究計画は、おおよそコロナ前に計画していた研究計画の最終2年度分に対応している。
|