研究課題/領域番号 |
20K20026
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
澤田 英司 九州産業大学, 経済学部, 准教授 (70458925)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 面源汚染制御 / ラムサール条約 / フライウェイ / ネットワーク |
研究実績の概要 |
フライウェイのモデリングについて,調査研究を進展させることはできなかったため,モデリングのアプローチについて,経済モデル・生態経済モデル,ネットワークモデルそれぞれについてサーベイを進めた。サーベイを整理した結果について,the 9th Asian Wetland Symposiumで,"How can economics model regional wetland conservation? Systematization and application of regional structure in the `economics’ of migrating species conservation"という題目でポスター発表を行った。全体の傾向として,まず,アプローチによってネットワーク構造の複雑さが大きく異なり,さらに,ネットワーク構造が複雑になるモデルほどサイト間の相互作用が単純化されている。広域的湿地保全の枠組み研究には,サイト間の相互作用の考察が必要不可欠である。今後は,経済モデリングのネットワークを拡張する方法と,ネットワークモデリングのサイト間の相互作用を拡張する方法の両側から広域的湿地保全の枠組み設計に取り組みたい。昨年度途中から方針転換して進めることになった,単一サイトの面源汚染制御政策については,経済主体の個別の汚染排出に加え,経済主体全体の汚染排出の情報を観察できなくても良く機能する政策設計に取り組んだ。その途中成果について"Non-point source pollution control policy for stochastic but constant environmental damage" という題目でディスカッションペーパーに取りまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度から海外調査,国内調査に制限がかかる状況が継続しており,調査研究を進展させることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
調査研究については,状況が改善する兆しが見えるものの,年度計画としての見通しを立てることが難しい。2022年度は,九州・山口エリアに範囲を絞って,重要湿地・ラムサールサイト・国立公園等の間の連携について調査を進め,経済的・生態的ネットワークの構造の特徴を明らかにする。ネットワークのモデリングについては,研究実績に概要で述べたアプローチから,モデル開発に取り組み,数値例を用いた仮想的なシナリオ分析に努める予定である。最後に,単一サイトの面源汚染制御政策については,2021年度にディスカッションペーパーとして発表した政策について,モデルを一般化する中で,より強い結果を引き出す作業に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
まず,感染状況の悪化によって計画年度の初年度の調査研究が全て延期になったことで生じた持ち越しがあった,さらに,2021年度についても,特に年明けからの感染者数の増大によって調査のための旅費を使用することができなくなったため,さらに翌年度への持ち越しが生じた。持ち越した予算は,計画期間の延長も視野に入れながら,感染状況,調査受け入れ状況に応じて,適宜調査研究のための旅費として使用することを計画している。
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