研究課題/領域番号 |
20K20034
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
田中 利和 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (50750626)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | エチオピア / 役畜 / 農耕 / ローカルイノベーション |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、「役畜」と「作物」と「人」との関係を切り口に、さまざまな社会・経済・環境の変容に柔軟に対応してきた現代アフリカの農耕実践の諸相をローカルイノベーションの観点からフィールドワークによってあきらかにし、未来可能性を検討し描き出すことにある。 2022年度は、これまでローカルイノベーションの文脈で地域の人びとと取り組んできた、「役畜」の革をも用いて開発・普及を試んできた、足を護り飾るエチオピア産地下足袋(エチオタビ)をもちいて、龍谷大学ミュージアムにおいて、学生起業家とともに展示実践をおこなった。朝日新聞などのメディアの協力も得られ、市民社会から始まるローカルイノベーションを考察していくうえでの実践的な情報を取得することに成功した。 2023年2月5日から2月24日までの期間に、本研究課題、初となるフィールドワークをおこなった。2007年から断続的におこなっている、エチオピアのオロミヤ州ウォリソ農村での3年ぶりとなるフィールドワークをおこない地域情報のアップデートをおこなった。過去15年で、トウモロコシの導入により作付け面積が縮小傾向にあった在来のモロコシの作付け面積が拡大しているという事例の観察と聞き取りをすることができた。近年の気候変動や、コロナによる経済の変動に対応するために、栽培を世帯レベルで独自に調整している可能性がある。また「役牛」による耕起作業の詳細に関する情報や、作物の「運搬」として活躍する「ロバ」と、人びととの多様な関係について、多角的な点から観察、聞き取りをすることができた。 このような在来作物の復興や、役畜を用いた農耕体系の柔軟な、変化を伴った対応力とユニークネスを、次世代との協働によってどのうように継承していくかという点がローカルイノベーションを考察していくうえでの一つの論点となりうることが浮き彫りになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は本研究の中心的課題のフィールドワークを計画より大幅に遅れて実施することができた。しかし、調査の開始が当初の予定より、コロナの影響によって大幅に遅れたため、研究課題がそのものが、当初の計画よりやや遅れて進んでいる状況である。 あわせて、2022年度のフィールドワークの終盤には、予備調査で収集蓄積した一次データを蓄積していた携帯電話が、首都の日中路上でひったくりにあい、紛失するというトラブルに巻き込まれた。そのため、本研究課題を分析、検討していく上での、材料も現在の段階では不足をしている状況である。 フィールドのデータを分析・比較検討していくための重要な資料となる、イギリスのアーカイブ調査などの計画も現段階ではまったく目処が立っていない。 しかし、フィールドワークをつうじた、現地の人びととの生の交流が再開したことには今後の研究の希望があると考えている。これまでの協働や信頼関係をベースに残りの延長予定期間も含めて、研究の質を高めていく準備はできている。そのため、本研究の進捗状況は、全体的に「やや遅れている」と自己評価をした。
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今後の研究の推進方策 |
フィールドワークの再開によって、研究計画に沿った具体的な調査項目もある程度検討できる段階に入ってきている。今後の推進方向としては現段階での手元の調査データを分析し、調査計画の核となる、関係の実相と分析視点の検討をふまえて、学会や研究会で口頭発表を重ねる。 予備調査の結果をより精密に分析したうえで、今後のフィールドワークのスケジューリングを検討することも課題である。1年の農事暦やさまざまな活動のサイクルを再確認したうえで、どのよう時期にフィールドワークをおこなえば、効果的に、質の高い情報と分析視点を得られるか検討することも今後の推進方策のうえで重要であると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナによって計画通りの本調査等が実施できていないため、次年度使用額が生じている。次年度にエチオピアでの本調査とイギリスでの文献調査をおこなう使用計画でいる。
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