研究課題/領域番号 |
20K20036
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
堀江 未央 岐阜大学, 地域科学部, 助教 (80773522)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 中国・ミャンマー国境 / 家族 / 山地民 / ゾミア / ジェンダー |
研究実績の概要 |
本研究では、ゾミア論を中心とする非国家空間に関する議論にジェンダーの視点を導入し、国家との接触面で起こる人の移動に家族やジェンダーが果たす役割を解明することを目的としている。本年度は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、県外への大幅な移動制限が課せられ、従来今年度に行う予定であった①明・清朝期の西南中国における漢人流入に関する文献から家族やジェンダーに関わる記述を掘り起こすという作業が遂行できなくなった。これらの漢語文献の多くは、オンラインではアクセス不可能であったり、図書館で取り寄せることが困難であるからである。 そのため、当初の予定を変更し、従来2022年度~2023年度に実施予定であった、③東南アジア大陸部山地および西南中国の山地民・平地民のジェンダーや通婚に関する網羅的な文献の検討による比較研究を行うこととした。京都大学東南アジア地域研究研究所の図書館に所蔵されている大量の文献コレクションを活用し、様々な文献の収集および読解を進めている。そのほか、名古屋大学高等研究院/大学院環境学研究科の杉江あい氏とともに「移動と共生のグローバルスタディーズ」と題した共同研究を立ち上げ、他地域の研究者との事例の比較や学際的交流、討論を行っている。ソロモン諸島やシリア、バングラデシュのロヒンギャ難民、欧州における移民といった研究事例の報告を受け、また自身も研究発表を行うことを通じて、本研究で取り組む非国家空間と国家空間との接触面で起こる人の移動や家族・ジェンダーの問題を、共生という概念と照らし合わせつつ深めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの拡大が収まらず、大学業務や教育活動のオンライン化に割かざるを得ない時間が倍増し、研究時間を確保することが困難になっている。また、本助成に関わる研究のみならず、本来であれば昨年度に完了していたはずの別の研究にも遅延が生じているため、本研究の推進は当初の予定よりも遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染拡大は、若年層へのワクチン接種が進まない限り収束は難しいと推測する。そのため、2021年度は昨年度に引き続き、日本国内で、他地域への移動を行うことなく遂行することの可能な文献収集と文献読解・分析に注力し、今年度中には「東南アジア大陸部山地および西南中国の山地民・平地民のジェンダーや通婚に関する網羅的な文献の検討による比較研究」を終え、論文を執筆する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの拡大に伴い、大学の業務や教育活動に割かざるを得ない時間が倍増し、研究活動の遂行に遅れが生じている。また、本来であれば国外へ調査に行くことも検討していたなか、移動制限によって実行不可能になったため、次年度使用額が生じた。今後も当分のあいだ移動制限が解除される見込みはないと推測するため、文献収集を進め、文献資料の読解と分析に注力する予定である。
|