研究課題/領域番号 |
20K20040
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
中澤 芽衣 高崎経済大学, 地域政策学部, 特命助教 (40845731)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ウガンダ / ジェンダー不平等 / 恋人関係 / 差別と偏見 / 貧困脱却 |
研究実績の概要 |
本研究では、ウガンダ南部の農村内で経済的困窮・社会的孤立に苦しむ女性に着目し、彼女たちが地域社会で受けた不当な扱いや貧困に陥る社会構造を検討し、彼女たちを支援する方策と包摂する社会のあり方を探究することを目的としている。 世界規模の新型コロナウイルス感染症の蔓延により、2020年8月に予定していた現地調査を中止した。2020年度は、資料収集に集中し、これまでに収集したデータと電話での聞き取り調査の内容を照らし合わしながら、分析した。地域社会で孤立する女性は新たな生活場所と人間関係を求め、別の農村へ移動することが多いため、携帯電話を所有する調査協力者に定期的に連絡をとり、調査村を離れた女性の人数と彼女たちの移動先について聞き取り調査をおこなった。また伝統的な婚姻儀礼に着目してこれまでのデータを分析したところ、女性は婚資の不履行から財産権を剥奪され、男性から資産を受け取れず、経済的に困窮する傾向にあることが明らかになった。 本研究の成果を含むこれまでの研究成果をまとめ、2020年12月にオンラインで開催された国際開発学会で、ウガンダ農村で頻発する土地収奪によって困窮する農民の生活実態について口頭発表をおこなった。また、高崎経済大学の地域科学研究所が実施する公開講座において、男性優位社会で生きる女性の結婚や出産観に関する発表をおこない、社会貢献に努めた。これまでの研究成果と本研究で得られた最新の知見をまとめた論考が、日本生活学会刊行の『生活学論叢』に掲載される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響で、ウガンダにおける現地調査が遂行できなかったことが理由である。しかしながら、これまでの調査で得たデータを丹念に見直し、収集した文献の内容の分析を進めながら、論文、学会発表、公開講座といったさまざまなかたちで、研究成果を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の前半は、文献収集とその読み込みに力をいれ、文献をもとに論文の執筆や学会での発表など、研究成果の公表を進めていく。2021年5月に開催される日本アフリカ学会第58回学術大会に参加し、口頭発表を実施する。 当初の計画ではウガンダで約1ヶ月の現地調査を実施する予定であるが、世界の感染状況を鑑みると、秋ごろまで現地調査の実施は極めて難しいと考えている。世界状況をみきわめながら、現地調査の実施と時期について検討していく。しかしながら、調査協力者とはSNSやメール、電話を通じて、定期的に連絡を取り合い、聞き取り調査を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
世界規模の新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、2020年8月に予定していたウガンダでの現地調査を断念した。本研究計画の多くの部分を占める旅費を使用することができず、その結果、次年度の使用額が生じることとなった。 2021年度は、日本とウガンダだけでなく、経由国の感染状況を注視しながら、安全が確保できると判断できた場合にはフィールドワークを実施する。ウガンダへの渡航が難しい場合には、ジェンダーに関する文献資料や学会参加、論文発表などに使用する。
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