研究課題/領域番号 |
20K20042
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研究機関 | 北海商科大学 |
研究代表者 |
坂口 可奈 北海商科大学, 商学部, 講師 (50756070)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 国家ブランディング / 教育政策 / 観光政策 / 国家建設 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、シンガポールの生き残り戦略を「自国をどのように見せるか」という国家ブランディングの観点から分析し、従来の研究で明らかにされていた経済発展による生き残りだけではなく、良い意味でのユニークさを創り出し、それをもとに国際社会で有利になるような立ち位置を求める戦略だったことを明らかにすることである。具体的には、他国の政府と他国の国民を対象とする観光政策、そして自国の国民を対象とする教育政策の両方を分析することで、シンガポールの指導者達が国内外に見せようとしていたシンガポールの姿を明らかにする。この「国内外に見せようとしていた姿」を分析することにより、初期のシンガポールの国家ブランディング戦略を明らかにする。そして、その国家ブランディング戦略から、彼らが考えていた「国家を存続させるための戦略(生き残り戦略)」を導き出す。 令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の流行長期化のため、現地調査を断念せざるを得ず、予定していたシンガポールでの資料収集及び調査を行うことができなかった。そのため、国内で入手可能な資料に限定して研究を進めた。具体的には、1.国家ブランディングについての理論的先行研究及び事例的先行研究をもとに、概念の再検討をおこなって定義を明確にし、2.独立初期(1965から1970年代)のシンガポールの国内/国際状況をもとに、1970年代の教育政策と観光政策を国家建設の文脈の中に位置付け、3.1980年代の教育政策と観光政策についての基礎的調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症流行の長期化のため、予定していた現地調査が不可能になったのみならず、国内移動自粛のために国内資料収集も断念せざるを得なかった。さらに取り寄せ資料の到着にも遅れが生じた。また、同感染症の流行により、講義など大学業務のオンライン化への対応を行う必要性に迫られ、想定していた研究時間の確保に大きな支障が生じた。研究進捗の遅れは、上記の理由により研究活動が大きく制限されたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、令和2年度とは異なり研究活動を活発に行うことが可能な環境となると考えられる。それゆえ、状況に注視しつつ国内で利用可能な資料をもとに研究を進めていきたい。また、研究仮説の検証と資料分析をすすめ、研究者との意見交換を通して課題を明確化したうえで、研究成果発信に注力していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症流行の長期化により、現地での資料収集等の現地調査および国内での資料収集を断念せざるを得なかったため、旅費支出を伴う研究活動が大幅に制限された。次年度においては状況を注視しつつ、国内での資料調査を実施する計画である。
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