本研究は、自国の生き残り戦略において、シンガポール政府が経済発展のみならず国家ブランディングも重要視していたことを示すものである。本研究では、シンガポール政府が国内外に「見せ」てきた姿を国内面(教育)と対外面(観光)の両方から分析した。その結果、シンガポール政府が、国内と国外の両方において多「人種」(多民族)性とグローバルかつクリエイティブな都市国家としてのイメージ形成を試みていたことが明らかになった。このイメージ形成は、国内の社会状況及び国際情勢や経済的潮流を考慮に入れたうえで調整されつつ行われたものであり、シンガポールの生き残り戦略の一つであったといえる。
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