研究課題/領域番号 |
20K20046
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
縄倉 晶雄 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (60806587)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 政党政治 / 大衆政党 |
研究実績の概要 |
文献レビューを通じ、韓国においては、国会議員選挙に先立つ候補者公認をめぐる混乱が、政党の安定性と、大衆への定着を阻害する一因になっている可能性が示され、また、その可能性を裏付ける事例も確認された。 より具体的には、現職国会議員が再選を目指して総選挙に立候補するも、党内抗争の反映として党本部が現職候補に公認を付与しない事例がしばしば生じていることが確認された。選挙に際して党の公認を得られなかった現職議員は、潜在的に党本部と利害関係が対立する。このような利害対立が深刻化することを回避するため、党本部は当該現職議員に対し、代替ポストを付与するなどの補償を行う必要性が生じる。しかし、本研究では、党本部が非公認となった現職議員に付与するポストは、党地方組織の非常勤役職など、国会議員の地位とは到底釣り合わない不充分なものであった。また、本研究では、そのような不充分な補償しか得られなかった現職議員が党本部に反発した事例が複数確認されており、こうした不満が、党の安定性を阻害する遠心力として作用している可能性が示唆された。当該可能性の実証は、次年度の課題として引き継がれることとなった。 上記の内容は、研究ノート「韓国の国会議員選挙における政党の候補者公認プロセスと政党の凝集性:第20代から第21代選挙にかけての嶺南政党を事例として」にまとめられ、査読を経て、2021年5月に刊行される『北東アジア地域研究』第27号に掲載されることが確定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大防止のための出入国規制、および所属機関の海外渡航規制により、韓国国内でのインタビュー活動が行えず、研究活動が文献レビューに限定されてしまっているため。
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今後の研究の推進方策 |
文献レビューを継続しつつも、ビデオ会議システムを用いたオンライン形式でのインタビューの可能性も模索しながら、本研究の対象である韓国政治の当事者から直接話を聞く機会を確保していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症に起因する海外渡航規制により韓国でのインタビュー調査が行えず、次年度使用額が発生した。次年度では、ヴァーチャル形式でのインタビューも模索しており、その経費として次年度使用額を用いる。
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