研究実績の概要 |
今年度も、コロナ感染拡大の状況に伴い、予定されていたフィールドワーク実施計画を実施できなかった。そのため、年間の調査計画を大幅に変更した。今年度も昨年同様、これまでの調査で取得していたデータの翻訳作業、オンラインを通じたインタビュー調査、文献調査の3点に重点を置き、研究をすすめた。 分析した内容は、2007年から2008年、及び、2011年~2012年、2017年, 2019年に実施した口頭伝承の採集データのうちから、詠唱の歌詞300種の翻訳・パラオ語 正表記(ハワイ大学出版のパラオ語英語辞典の記述法に依拠して、スペルを正書)をすすめた。さらに、歌詞中の古典パラオ語を抽出し、リスト化した。現存するパラオ語時点には記載のないものが多く、現在では日常的な使用頻度も低いため、長期間に渡る聞き取り調査を要したが、オンラインやメール等を使用して、古典パラオ語の読解作業をすすめた。また、昨年度に引き続き、アーカイブ化に向けたプラットフォームの一元化を図った。 上記の作業と並行して、国際学会に参加し(Va Moana: Space and Relationality in Pacific Thought and Identity 2021年11月4日オンライン参加, 口頭発表/ Greenland-Denmark 1721-2021 conference 2021年6月11日 AALBORG UNIVERSITYオンライン参加, 口頭発表), パラオ創成神話などに関する口頭発表した。また、同上発表内容に関する英語論文(2022年6月掲載予定)を執筆した。さらに、国内学会誌への論文投稿(現在査読中)、オセアニア関連著書(2023年度出版予定, 共著)の原稿執筆を進めた。そのほか、パラオの詠唱に関するコラムを執筆した(『地球の音楽』 山口裕之, 橋本雄一(編) (担当:分担執筆, 範囲:ミクロネシア「身体を楽器にする」東京外国語大学出版会 2022年4月 (ISBN: 9784904575970))。
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