研究課題/領域番号 |
20K20064
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
藤倉 哲郎 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (70722825)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ベトナム / 農村 / 紅河デルタ / メコンデルタ / 人口動態 / 都市化 |
研究実績の概要 |
(1)北部ベトナム・紅河デルタ農村において、家族構成及び就業に関する世帯調査、村落インフラについての関係者への聞き取り、並びに一村落悉皆調査の準備のための予備調査を実施した。加えて、(2)南部ベトナム・メコンデルタ農村での本調査のための予備調査を実施した。
(1)2010年頃までの村落住民の転出入の背景を掘り下げて調査したところ、当時は少数であった給与所得者に特徴的な職業的背景がある場合と、婚姻に関連する背景がある場合とに大きく分けることでき、それぞれ、時代的な特徴を明らかにすることができた。村落インフラの整備において集団農業時代の農業生産組織(農業合作社)が現在も有している役割を、具体的に明らかにすることができた。また、現地調査においては、これまでの研究結果を、ベトナム人研究者同席のもとで、村落関係者に報告する機会ももたれ、長期村落調査の意義について意見交換することができた。
(2)2013年に世帯調査を実施した調査村への訪問と、同調査村が属する上位の行政機関の関係者への聞き取りを実施した。10年ぶりに訪れた調査村の周辺では、新たな幹線道路プロジェクトなどの大規模インフラ整備および住民立ち退きの準備が進んでおり、村落景観に大きな変化があった。脱法的な地目転換(稲作地から果樹地へ)が各所でみられるものの、調査村の農業基盤は依然として脆弱であり、それが、開発プロジェクトにともなう土地収用によって半ば強制的に離農させる政策的発想の背景にもなっていることが確認された。局所的な生態環境の違いをもとに、多くの農家がより商業価値の高い農業生産を戦略的に進めている地域がある一方で、都市化と気候変動によってもともと不利な農業基盤が悪化しているような地域があるなど、実態の多様性があらためて浮き彫りになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の流行によって交流の途絶えていたカウンターパートとのあいだで現地調査実施体制の再構築に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
海外研究機関において本研究テーマに関係する文献調査を実施する。今年度の予備調査にもとづき、紅河デルタおよびメコンデルタの各調査地において、本調査を実施するとともに、すみやかに収集データの分析にあたる。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査が予備調査にとどまり、謝金等の現地調査予算の執行額が想定よりも少なかったため。海外研究機関での文献調査費と、年度半ば以降にスケジュールが具体化している現地本調査費として執行していく。
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