本研究は、インド社会においてスマートフォンの急速な普及に伴う通信アプリを介した虚偽の情報の拡散とオンライン上の憎悪犯罪と暴行事件の頻発という現在進行形の問題に取り組んでいる。 4年目は、2023年6月にアジア政経学会にて、モディ政権下での少数派への弾圧と不正義の横行について焦点を当て、「モーディー政権下におけるヒンドゥトヴァ政治の変容 」との研究成果報告を行った。 9月にはインドのデリーに滞在し、現地研究者への聞き取り調査と資料収集を行った。デリーにある発展社会研究センター(Centre for the Study of Developing Societies : CSDS)とジャワハルラール・ネルー大学に赴き、現地研究者と2024年4月から実施予定の総選挙に向けて、政治指導者のヘイトスピーチや虚偽情報の拡散が顕著となる傾向と有権者の選好への影響について議論を行った。またデリー市内で最新の研究書を収集し、少数派への差別、ヒンドゥー至上主義に関する文献の分析を行った。同じく9月には日本南アジア学会に参加し、少数派を取り込むためにヒンドゥー至上主義から世俗主義へとイデオロギーを変えた政党組織の動向について「シヴ・セーナーの動態からみる地域政党の党略」との成果報告を行った。 4年目にはインド渡航が制限されていた期間中に収集・分析してきた知見に基づいて、デリーで現地調査を行い、現地研究者との意見交換とフィードバックを行い、また現地で最新の研究資料を入手した。合わせて、国内学会で2件の成果報告を行い、研究の総括として論文執筆の準備を進めている。
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