島嶼地域を対象としたバンドル商品によるレベニューマネジメントの収益管理問題に関する研究を昨年度に引き続き実施した.数値解析で得られた結果をまとめた論文はプレプリントサーバーにて公開し,昨年度に引き続き査読対応を行っている. 更に今年度では,小豆島へのフェリーと小豆島内のレンタカーをケーススタディーとしたバンドル商品に関するアンケート結果の分析を行った.アンケートでは観光需要がピークシーズンからオフシーズンに変化することにより,小豆島に行く観光客のレンタカーの事前予約行動がどのように変化するのか,という予約行動の変化に注目した.分析の結果,潜在的な観光客の島嶼地域におけるレンタカーへの予約行動を説明する因子と,その因子の組み合わせによる予約行動のパターン,更に,その予約行動のパターンによる顧客のセグメンテーションの特徴を明らかにした.この分析結果は論文としてまとめ,国際誌に投稿している.島嶼地域におけるピークシーズンのレンタカーの需要増加は,排気ガスの増加や渋滞,島外観光客による事故の増加という問題を引き起こすことが知られているため,この研究結果は,周縁地域における需要変動を制御するための商品開発に寄与することが期待される.更に,数値解析で使用していたバンドル商品を購入する顧客の予約順序に対する仮定を検証するために追加アンケートの実施と,アンケート調査結果の分析を行った.この結果,数値解析で使用している仮定は厳しく,一部の季節では有効ではないことが示唆された.
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