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2020 年度 実施状況報告書

ダークツーリズムから公共ツーリズムへ:中国における自然災害遺産の保存と活用

研究課題

研究課題/領域番号 20K20089
研究機関多摩大学

研究代表者

田中 孝枝  多摩大学, グローバルスタディーズ学部, 准教授 (50751319)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワードディザスターツーリズム / 自然災害遺産 / 防災 / 災害文化 / 地震 / 中国 / 日本
研究実績の概要

2020年度は、新型コロナウイルスの流行により中国での調査はもとより、国内での移動を伴う調査をすることも困難であったが、境界を越えた移動が全世界的に制限されるという未曽有の事態が生じたことで、ツーリズムの持つ意味や可能性についても新たな議論がなされる契機となった。本研究も、オンラインでの調査をはじめ、新たな調査法を模索するとともに、コロナ禍でのオンラインツアーやプログラムの展開を視野に入れ、調査を進めることとした。具体的には、以下の調査研究を実施した。
①唐山地震をめぐる地震遺跡とツーリズムに関する文献研究:当初の予定通りに現地調査を行うことはできなかったが、関連資料の収集、文献研究を進めた。
②コロナ禍での中国観光の展開:新型コロナウイルスの流行という現在まさに生じている全世界的な災害が、ツーリズムにどのような影響を与えるか、また如何に記録・記憶され、ツーリズムと結びついていくかというという問いは、本研究の研究関心において非常に重要なものである。そのため、コロナ禍における中国観光の展開について、情報収集を進めた。
③東日本大震災後の震災遺構の保存とツーリズムの展開:中国での現地調査がいつ再開できるか分からない状況を鑑み、日本との比較、あるいは中国からみた日本の自然災害遺産ツーリズムの持つ意味という視覚からも調査を進めることとした。震災遺構の保存やそれを資源とするツーリズムの展開、それらの海外への発信について、資料収集・文献調査を行った。
④オンラインツーリズム・プログラムの展開:コロナ禍で急速に展開したオンラインのツーリズム・プログラムの展開について、特にダークツーリズム、ピーススタディ、東日本大震災に関するものに焦点を当てて調査を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナウイルスの流行により、中国での現地調査ができず、また今後の見通しも不透明である。そのため、当初の計画通りには進んでいないが、コロナ禍でのツーリズムの展開、日本との比較、あるいは中国からみた日本の自然災害遺産ツーリズムの持つ意味という視点から研究計画を位置づけなおすことで、研究目的にアプローチすることができると考える。

今後の研究の推進方策

2020年度の調査研究を以下のとおり展開させていく予定である。新型コロナウイルス流行の状況に応じて、柔軟に調査研究を進めたい。
①唐山地震、四川大地震、新疆地震帯周辺の地震遺跡に関する文献研究:文献研究を進めるとともに、渡航が可能であれば唐山地震遺跡の現地調査を行う。
②コロナ禍での中国観光の展開:コロナ禍が中国観光に与える影響、新型コロナウイルスの記録・記憶とツーリズムとの結びつきについて、引き続き情報収集を進める。渡航が可能であれば、現地調査を行う。
③東日本大震災後の震災遺構の保存とツーリズムの展開:震災遺構の保存やそれを資源とするツーリズムの展開、それらの海外への発信について、資料収集・文献調査を進めるとともに、関係者への聞き取り調査を行う。また、移動が可能であれば現地調査を行う。
④オンラインツーリズム・プログラムの展開:引き続き、オンラインのツーリズム・プログラムの展開について情報収集を進めるとともに、特にダークツーリズム、ピーススタディ、東日本大震災に焦点を当てて調査を行う。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの流行により、予定していた中国での現地調査ができなかったため。次年度は、産前産後の休暇、育児休業の取得により研究を一時中断するが、研究再開後、「次年度使用額」は、旅費、人件費・謝金、物品費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 中国・四川大地震後の地震遺跡とツーリズム2020

    • 著者名/発表者名
      田中 孝枝
    • 雑誌名

      文化人類学

      巻: 85 ページ: 308~324

    • DOI

      10.14890/jjcanth.85.2_308

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Coping with Uncertainty: Consumption of Medicines by Chinese Tourists in Japan2020

    • 著者名/発表者名
      TANAKA Takae
    • 雑誌名

      Japanese Review of Cultural Anthropology

      巻: 21(1) ページ: 209~241

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 中国研究からみた新型コロナウイルス問題2020

    • 著者名/発表者名
      田中孝枝
    • 学会等名
      旅と観光研究ネットワーク研究会「コロナ禍/緊急事態宣言下における旅と観光についての新たなる研究課題」
  • [学会発表] 中国における観光の人類学の研究動向2020

    • 著者名/発表者名
      田中孝枝
    • 学会等名
      国立民族学博物館共同研究「社会・文化人類学における中国研究の理論的定位―12のテーマをめぐる再検討と再評価」
  • [図書] いま私たちをつなぐもの2021

    • 著者名/発表者名
      山田 義裕、岡本 亮輔(共著)
    • 総ページ数
      284
    • 出版者
      弘文堂
    • ISBN
      978-4-335-55204-5
  • [図書] 日中観光ビジネスの人類学2020

    • 著者名/発表者名
      田中 孝枝
    • 総ページ数
      336
    • 出版者
      東京大学出版会
    • ISBN
      978-4-13-056311-6

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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