研究課題
若手研究
計算機シミュレーションによって、タイコグラフィ測定系における、照明光学系に利用する回転体ミラーの開口数と観察像の空間分解能の相関を調べた。その結果、同じ入射光子数であっても、NAが大きくなるほど空間分解能が改善する可能性が示された。さらに、SPring-8において、大開口数回転体ミラーを照明光学系に用いて、磁性薄膜のタイコグラフィ測定を実施した。測定したおよそ2000枚の回折パターンに位相回復計算を適用することで、透過X線画像では見えなかったナノ磁区構造を可視化できた。
X線イメージング
磁気材料を高空間分解能で観察できる本計測手法は、通信機器の省消費電力化、高速化などへの貢献が期待されるスピントロニクスデバイス開発につながる。また、本手法は磁気材料のみがターゲットではなく、同じシステムで、環境化学や宇宙科学と関連した酸化物・窒化物ナノ粒子の元素識別観察も可能である。X線と回転体ミラーの特長を活かして、現状の顕微鏡技術よりも優れた空間分解能で試料内部の磁気・化学状態を非破壊観察できるようになれば、様々な分野で新しい知見をもたらす。