研究課題/領域番号 |
20K20108
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
名取 寛顕 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特任助教 (40716495)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 粒子測定器 / ワイヤーチェンバー / 放射線検出器 / 素粒子実験 |
研究実績の概要 |
アノードワイヤとポテンシャルワイヤが交互に並び、ワイヤ面をカソードで挟んだ構造のワイヤチェンバのアノードとポテンシャルそれぞれのワイヤに逆方向の パルス電圧を印加することでダイナミックにゲインを変えつつ、パルス電圧の誘導電力による読み出しへのノイズを低減することでパルス駆動後に荷電粒子を観測可能になるまでの復帰時間を改善する新たな手法の開発を進めている。 前年度ファンクションジェネレータを用いてアノードとポテンシャルのそれぞれのワイヤに逆方向の1V程度のパルス電圧を入力することでカソード読み出し信号に誘起されるノイズが打ち消しあることを確認し、フィジビリティスタディは一歩進行した。しかしながら一方で誘起されるノイズを削減することはできているが完全に0にすることはできていないなど想定はしていたものの1V程度の低い電圧印加においても非線形な振る舞いが見られるなど分かり、実際に動作電圧で適応した際にパルス駆動後に動作可能に復帰するまでのラグ時間を改善できるかについては高電圧パルスを印加して調べる必要があると分かった。 前年度の結果を受け、動作電圧であるkV程度の電圧入力でも同様にノイズの打ち消し合いがあることや、それが復帰時間削減に貢献するかを確かめるべく当年度ではkV程度の矩形波を発生できるパルス電圧発生装置の制作について業者との打ち合わせを開始した。しかしながら申請者の他業務の業務状況による影響で打ち合わせの進行が停滞しており想定した進行から遅れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請者の他業務においてビーム実験が複数あり、該当研究へ割ける時間の割り当てが難しくなり、業者との打ち合わせが中途で止まってしまっていたため。
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今後の研究の推進方策 |
回路作成業者との打ち合わせを再開し、実験で意図する機能を達成する高電圧パルス発生装置を作成し、動作電圧でのノイズの打ち消し合いについて、アノード、ポテンシャルワイヤそれぞれの抵抗値や浮遊容量の違いによって想定した入寮区電圧の波形と実現される波形の違いによる影響や、アノード用、ポテンシャル用のそれぞれの使用回路素子の特性の違いによって出力波形の昇圧スピードの違いや遅延がどのように影響するか、それを打ち消すことができるかなどの研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
業者と高電圧パルス発生装置の作成について打ち合わせを開始したが、他業務の影響で進行が停滞しており発注に至らなかったため次年度使用額が発生した。今年度打ち合わせを再開し、発注してパルス駆動回路を作成して研究を遂行する。
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