研究課題
若手研究
ヘリウム原子の2s2p二重励起準位の吸収スペクトルは、自動電離状態との干渉によりFanoプロファイルと呼ばれる特徴的な構造を示すことが知られている。本研究では、近赤外レーザーパルスの照射によって、ヘリウムの2s2p 二重励起準位における吸光度が、非対称なFanoプロファイル形状から対称なガウシアン形状へと過渡的に変化すること観測した。その結果、近赤外レーザーパルスのパラメータによって透過スペクトル形状を制御できることを明らかにした。
原子・分子・光科学
本研究は、物質の透過率を過渡的に変化させ入射パルス光の一部を切り出すことで、パルス幅を短くすることができる可能性を示している。本研究は、特に将来において短波長領域でもミラー共振器型自由電子レーザーが主流になった時の短パルス化に有用であることが期待される。短波長領域では共振器に多層膜ミラーを使用するため発振波長幅が狭くなり、結果としてパルスの時間幅が長くなることが予想される。そこへ本研究による成果を応用することで、ミラー共振器型自由電子レーザーの短パルス化が期待される。