研究課題/領域番号 |
20K20115
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
三好 賢聖 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 特別研究員(PD) (20868210)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 言語化 / 身体感覚 / デザイン |
研究実績の概要 |
本研究は、身体性をめぐる大きな歴史的変遷の中に位置付けられる。身体性認知科学(1990年代より)やShustermanの身体感性論(2000年代より)など、近年の身体性への着目は、以前の科学や美学・哲学中で十分に考えられなかった身体の重要性を認識し始めたことに端を発している。知性偏重の状態から脱却し、美学の創始者Baumgartenによる「美学」の本来の意味,すなわち「感性」(sensory perception)に立ち返る必要性が認識される時代にある(Howes, 2014)。本研究はデザイナーの感性開拓という特定の問題に着目し、身体性にまつわる理論と実践との結びつきを実証する。 若手研究一年目には、言語的表現、非言語的表現で形容する対象となる物体運動の試作を行った。動きの記録や表現の手段として、手描きのスケッチを用いたり、運動の軌跡の等倍印刷物などを用いた。観察対象物のプロトタイピングにおいては、市販されている製品を分解し、その構造や機構を参考にした。研究成果の公開用ウェブサイトの構造設計を行った。制作においては、スイス在住のデザイナーRiccardo Lardiの協力を得た。当該ウェブサイトは現在 http://kinaesthetic.design のURLにて公開されており、物体の動きに対する運動共感感覚について身体ジェスチャーという非言語的手段と、言語表現を用いたハイブリット的アプローチをとっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
観察物の試作および言語・非言語的表現の実験については、本年度に様々な試みを行うことができた。また、その成果公開についての準備も行うことができたため、成果公開時に得られるフィードバックによって、更に研究内容を深化したいと考える。慶應義塾大学環境情報学部諏訪研究室で実践されるアプローチを参考にすることで、身体感覚の言語化および非言語的表現を通した分節化について、新たな方法論を学ぶことができた。
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今後の研究の推進方策 |
一年目には、慶應義塾大学環境情報学部諏訪研究室で実践されるアプローチを学習する機会が得られた。当該アプローチ、例えばからだメタ認知やFNSサイクルなどの方法論を次年度以降は積極的に実践していきたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
リモート活動を中心に研究を行ったことから、旅費の支出が大きく減ったことが、次年度使用額が生じた主な理由である。次年度に、リモートを中心とした実践活動を促進するために充てたいと考える。
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