研究課題/領域番号 |
20K20115
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
三好 賢聖 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 特別研究員(PD) (20868210)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 身体感覚 / 言語化 / 呼吸 / 人工物 / 運動共感 |
研究実績の概要 |
昨年度に制作を開始した、多様なリズムでミストを放出し、観察者の身体的・言語的反応を見るためのデバイス(加湿器)の試作を継続した。ミスト放出口の形状設計や3Dプリンタでの出力を繰り返すなかで、適切な形状を模索した。 昨年から継続し、身体に関する文献調査を行った。本年度は特に呼吸という身体運動に焦点を当てた。呼吸は瞑想やヨガなどの精神性やエクササイズにまつわるものから、喘息や無呼吸症候群などの病理的なトピックにまつわるものまで幅広く存在する。呼吸というひとつの切り口によって、人々のライフスタイルのさまざまな側面について考えることができる。 また、呼吸法エクササイズのインストラクターにインタビューをするなかで、初心者がさまざまな呼吸法を取り入れる際における利点や注意点について知識提供を得た。 呼吸の感覚は多様であるにもかかわらず、日常生活のなかでその感覚の差異について注意を向けることは稀である。加湿器型デバイスの動作と合わせて呼吸を行いながら、自分の身体のなかの呼吸感覚と、デバイスの動きに対する運動共感を比較することによって、それまでに意識できていなかったような身体感覚を特定し、言語化することを促す。 また、スイス在住のウェブデザイナー・開発者であるリカルド・ラルディに協力を得て、研究成果の一部を公開するウェブサイト(Designing Objects in Motion)を作成した。既に研究論文に引用されるケースも見られ、研究の周知活動の効果が得られたことが見受けられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験で用いる人工物の機械的開発とデザイン設計について外部からの協力が得られたこともあり、実験用デバイスの準備が加速した。デバイスの制作途中にもさまざまな身体感覚が言語化されるプロセスが多く潜んでいることが実感された一年間であった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、最近まで行っていた人工物の観察と身体感覚の言語化の実験を継続する。継続の際には、デバイスの動きのリズムやサイクルを調整しながら、物理的なふるまいと、身体感覚の言語化が双発的におこなわれるようなプロセスを意識する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験用人工物の開発に想定以上に時間がかかったため、材料費の支出が予定より小額になった。また研究発表や学会出張の機会が当初の計画より減少し、旅費の支出が減った。翌年度には未使用額の研究費を開発や研究の周知活動に当てたいと考える。
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