研究課題/領域番号 |
20K20134
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
藤原 整 早稲田大学, 社会科学総合学術院, その他(招聘研究員) (60755750)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ブータン / 情報社会 / ビデオゲーム / モバイルゲーム / 地域研究 |
研究実績の概要 |
本研究では、ブータンにおけるビデオゲームの普及に焦点を当て、ブータンという血縁・地縁が強く社縁的な繋がりが乏しい地域において、ビデオゲームという情報通信技術の発展により生まれた遊びを通じて、どのようなネットワーク社会が生成され得るのか、その過程を明らかにしていくことを目的としている。 2020年度(初年度)は、ブータンにおける現地予備調査を少なくとも1回実施し、ビデオゲームの普及事情や流行しているゲームについて聞き取りを行う予定であったが、年初来の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国際的流行により海外渡航を伴う現地調査は不可能となった。また、現地調査に代わって、SNS等を利用したオンライン調査によってこれを補完することも想定していたが、COVID-19流行下のSNSは同感染症に関連した話題への偏向が顕著であり、そうしたバイアスを除いた有意な調査結果を得ることが難しいと判断し、ヒアリング等は実施せずデータ収集のみに努めることとした。 このような状況下においては、本研究にとって極めて重要な知見を有すると考えているゲーム・スタディーズと呼ばれる研究領域に関連した文献調査に専念することが有益であると考え、ゲーム研究における地域特性の記述様式や、ゲームと社会や文化との関わり合いについて見識を深めることとした。 また、現地において研究協力を依頼しているブータン王立大学(Royal University of Bhutan)は、現地でのCOVID-19感染拡大に伴うロックダウンやオンライン講義への移行等にかかる業務に資源を集中していたため、具体的な協力要請は控えることとした。ただし、本研究について最低限のコミュニケーションは継続しており、事態の沈静化を待っている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「研究実績の概要」欄においても述べた通り、COVID-19流行下において、現地調査ならびに代替調査としてのオンライン調査のいずれも実施することができず、研究の進捗に極めて重大な影響を及ぼしたため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、現地本調査を2回行う計画であったが、未だ予備調査が実施できていない段階であり、また、当該年度もCOVID-19の流行による渡航制限が長期にわたって続く見通しであることから、計画の大幅な見直しは避けられない。 まず、現地の研究協力者と連携し、遠隔での現地調査を実施できる体制を至急整えていきたいと考えている。また、オンライン調査についても、現地調査の代替としての位置付けから、本研究の核心を成す調査へと変更するとともに、先に述べたCOVID-19関連のバイアスを可能な限り排除した調査手法を早急に確立し、その実施を試みていく。 具体的には、まず調査対象とするゲームコンテンツを特定した上で、そのプレイヤーに対する聞き取り調査(遠隔もしくはオンライン)を行い、「ゲームをプレイするきっかけ」「プレイ体験の価値」「他のプレイヤーとの出会い」「プレイヤー間の対話」「プレイヤーコミュニティへの参加」「プレイヤーを取り巻く環境」といった語りを引き出していく。また、ソーシャルネットワーク上のプレイヤーコミュニティにおける会話分析、および、当該コンテンツの非プレイヤーに対する聞き取り調査(遠隔もしくはオンライン)を併せて実施する。これらの調査を通じて、ビデオゲームのプレイヤーコミュニティがどのように形成され、そして、当該ゲームに対する批評や言説がどのように変遷していったのか、そのダイナミズムを明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
「研究実績の概要」欄においても述べた通り、COVID-19流行下において、現地調査を実施することができず、旅費および人件費(現地での研究協力謝金等)として見込んでいた予算を全く消化することができなかったため。
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