研究課題/領域番号 |
20K20136
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
竹村 朋子 立命館大学, 映像学部, 准教授 (70756147)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | デジタル・ディバイド / 社会的認知理論 / 高齢者 / ICT / QOL |
研究実績の概要 |
本研究は、混合研究法(Mixed Methods Research)により、高齢者のICT利用行動について理解することによって、高齢者のデジタル・ディバイド解消につながる対策を提示し、メディアを用いた高齢者のQQL向上を目的とする。具体的には、日本の65歳以上の高齢者を対象とし、①ICT利用行動の多様性、②デジタル・ディバイドと個人的要因および環境的要因の相互関係、③アクセス、スキルおよび能力、生活におけるディバイドの関連性、の3点について検証する。 2021年度においては、2020年度に実施された15名のインタビューデータについて分析を行った。具体的には、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(以下、M-GTA)の手法を用いて分析を行なった。グラウンデッド・セオリーとは、継続的比較分析法によって、データに密着した分析を通して独自の概念を作り、人間行動の予測と説明に関する理論を生成する分析手法である(木下、2007)。プロセス性をもった理論の検討に用いられる手法であることから、「高齢者がスマートフォンを所有し始めてから、操作方法を習得していくプロセスと課題」を研究テーマとする本研究において、M-GTAを用いることは適切だと判断した。具体的には、M-GTA(木下、2016)の分析手法に沿って、分析テーマと分析焦点者の設定、分析ワークシートによる概念生成、カテゴリー生成、結果図とストーリーラインの作成を経て、理論的飽和を判断し、調査および分析を終了した。理論的飽和とは、分析を進める中で、新たな重要な概念が追加されなくなった段階のことを指す(木下、2016)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍において、インタビューの実施が遅れたことで、インタビュー分析の実施時期も予定よりも遅れた。そのため、2021年度に実施する予定であった質問票調査を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
インタビュー調査については、ほぼ論文執筆が終わっており、投稿ができる状態にある。そのため、今年度は質問票調査を行うにあたり、インタビュー調査のデータをもとに、ICT利用行動、個人的要因、環境的要因に関する仮説を構築する。仮説を検証するための質問項目を検討したうえで、質問票を作成する。10名の高齢者にプレテストを行ったうえで、本調査を実施する。調査実施は、調査会社に委託し、400名程度のサンプルに対して郵送調査を行う。調査結果について、適切な分析手法を用いて分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に予定していた質問票調査を実施することができなかったため、2022年度に実施するために予算を使用する予定である。
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