研究課題/領域番号 |
20K20137
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
立石 祥子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, プロジェクト研究員 (40747656)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 公共空間 / メディア・イベント |
研究実績の概要 |
本研究は、公共空間における映像文化が根付く欧州で展開してきた映像視聴空間を研究対象としている。中でも、2006年のサッカーワールドカップドイツ大会に際して登場したテレビ中継の視聴イベント「パブリック・ビューイング」は、その言葉が日本でも同じ意味で使用されるようになるなど、欧州における公共空間のメディア利用の在り方は日本にも影響を与えてきた。さらにメディア環境の変化と一時的な集合行為の日常化の進んだ2010年代以降では、テレビ番組の視聴に留まらず、公共空間における日常的な映像視聴イベント「ライブ・ビューイング」が展開されている。 こうした状況を踏まえた本研究は、公共空間と一時的な出来事、およびメディアとの関係を考察するために、ドイツを中心とした現地調査を行う予定であった。しかしコロナ禍において渡航が困難になったことから、研究計画を大幅に変更し、欧州での都市における映像イベントの展開を視野に入れつつも、文献調査を中心とし、日本の事例と比較検討するかたちで研究を行っている。 2020年度は、こうした公共空間における一時的な出来事を「記念碑(公開遺産)」として考察し、「万国博覧会に見る「日本」--芸術・メディアの視点による国際比較」研究会において報告を行った。また、2000年代のパブリック・ビューイングと2010年代以降のライブ・ビューイングについて、国際比較を採り入れながら横断的に考察し、論文にまとめたものを2021年度以降に論集の一部として刊行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響から、研究計画の大幅な変更を余儀なくされている。特に2020年度前半は、2020年度後半や2021年度の感染状況が予期できなかったため、フィールドワークの予定を延期するか、文献調査をメインに切り替えるかの判断が遅れた。調査手法の変更後は、オンラインでのインタビューを行うほか、オンラインでの研究会等を通じて研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定では、1年目に欧州を中心にフィールド調査を行い、2年目に文献調査を行うことで研究結果を論文等にまとめる予定であった。しかし1年目に新型コロナウイルス感染拡大の影響によってフィールド調査の実施が困難となったため、1年目から文献調査を中心とした研究に切り替えた。結果として、欧州でのフィールド調査がなくなったことから、欧州において展開してきた映像文化と、ライブ・ビューイングの日本における展開との比較文化研究として論文をまとめることで、当初の予定どおり助成金を使用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、フィールドワークをとりやめ、文献調査およびオンラインでの研究活動に切り替えたため。2021年度は引き続き文献調査およびオンラインでの活動を中心として研究を継続する。
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