主体感・時間知覚・記憶の関連を実験心理学的に検討した。運動行為と感覚結果(例:キー押下と音)の時間間隔が実際より短く感じられるIntentional binding (IB) が知られていた。本研究では,まず確率的因果推論によってIBが主体感を規定する因果関係を示唆した。次に行った実験の結果,主体感の強度と刺激の再認成績との関連は認められなかった。この成果を受けて,運動行為と記憶の関係を精査したところ,運動行為の準備と実行の別よりも,運動行為と刺激の順序関係が再認記憶を説明しやすいことが示唆された。
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