研究実績の概要 |
本研究では、視覚情報処理における空間情報の符号化・表象について特に個人差の観点から明らかにすることを目的とした。最終年度はGANと呼ばれる機械学習手法を用いて生成したマンモグラフィ画像を用いて放射線科医に物体検出・認識タスクを行ってもらったところ、特異的な個人差が安定して存在することを示した研究(Wang et al., 2022)、物体の運動が時間長判断に与える影響を調べ、輝度運動と色運動による時間長知覚の変調が個人内で相関していることを示した研究(Yoshimatsu et al., 2022)の2報の国際誌論文を発表した。 当初の研究計画の柱の一つであったMRI研究は、コロナウイルス感染症の影響でデータ取得が困難だった時期があり、行動実験中心に研究計画を組み直す必要に迫られたが、結果として空間情報の符号化方略に関する研究に加え、空間情報が物体認識や時間長判断等の量推定といった高次知覚・認知処理に与える影響まで含めたより包括的な研究として結実した。これらの研究は国際共同研究を含め国際誌論文5報をはじめとして対外発表され、研究期間全体として所期の目標を十分達成したと判断する。
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