研究課題/領域番号 |
20K20154
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
十川 俊平 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特任研究員 (70854107)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自己意識 / メタ認知 / ホンソメワケベラ / 鏡像自己認知 |
研究成果の概要 |
ホンソメワケベラは鏡を見ることで自身の正確な体長を把握し、同種他個体との闘争にその情報を利用できるが、もし自身の体長に関する記憶があいまいになっているのを自覚していたなら、鏡を見ていない時間が長ければ長いほど、鏡を使って再度自身の体長を確認する頻度も増えるはずだ。実験の結果、対象はモデルに対して6時間鏡を見なかったときより18時間鏡を見なかったときの方が、より高い頻度で鏡を確認した。これは、自身より大きい可能性のあるモデルに対し、自身の体長を再確認していることを示唆している。つまり、ホンソメワケベラは鏡で見た自身の正確な体長に関する記憶が曖昧になっていることを自覚し、メタ認知していると言える。
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自由記述の分野 |
動物社会学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在、メタ認知のような最高時の自己意識はヒトか大型霊長類にしか備わっていないというのが、自己意識研究の一般的な考え方である。そして、自己意識の進化もその考えを前提に予想されている。しかし、魚類の時点で自己意識の自覚が出来ることが示されれば、今までの前提がすべてひっくり返り、動物行動学の基礎である生得的解発機構や学習理論といったものの見直しも必要になってくる。つまり、少なくとも脊椎動物の祖先である魚類の時点でヒトと同じレベルの自己意識は進化していたということである。この結果は、アニマルウェルフェアや哺乳類の優位性、哲学や宗教の基礎に大きな影響を与えることが期待される。
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