研究実績の概要 |
本研究では、雑種ネコの性格特性がどのような進化を遂げたのかについて、遺伝子と行動から解明することを目的とした。具体的には、性格特性に影響する遺伝子の探索および、その遺伝子型頻度が生息環境によって異なっているのかを調べるという計画である。 昨年度は、日本由来の雑種ネコを主に対象として飼い主からDNAサンプルおよび性格を評定する質問紙を収集した。このうち約150個体を対象にしたSNPアレイの結果と性格との関連があまり見られなかったことから、解析に供する変異の数を増やすため、今年度は別の方法によるジェノタイピングを模索した。ion torrentシーケンサーを用いたddRAD-seqを安価に実施できることがわかったため、その実験系の確立と多サンプルでのジェノタイピングを試みた。 結果として、coverageが10以上得られたリードでの変異はおよそ30,000~SNP程度だったが、PCR duplicateが原因だと考えられるエラーが多数見られた。このため、現在は実験系の変更を進めている。最終的にはSNPアレイのデータとあわせ、表現型との関連を見る予定である。 また、遺伝要因だけでなく環境要因にも着目し、飼い主によって自由記述で書いてもらった成育歴、および「ヒトへのなつきやすさに影響したであろうエピソード」を分類し、現在飼育しているネコが示す性格の要因になったと考えられる項目を洗い出す作業を実施している。
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