研究課題
若手研究
本研究では,膵臓の線維化の中心的な役割を担う,膵星細胞と膵腺房細胞,膵臓がんの共培養組織を異なる培養酸素濃度雰囲気下で培養し,星細胞の挙動と機能を評価した。低酸素培養により,膵星細胞の増殖を確認した。また,平面培養系において,間葉系がん細胞では,星細胞が底面に伸展し,がん細胞が増殖する一方で,上皮系がん細胞では,がん細胞の増殖に伴い,星細胞の減少が確認された。すなわち,異なる細胞種の組み合わせにより多様な線維化モデルの形成と挙動解析が可能となることが期待される。
生体医工学関連
膵線維化培養モデルの構築は,糖尿病や膵硬変,膵臓がんなど様々な膵臓疾患に対する基礎研究のツールとして期待される。既往の研究では,膵星細胞のみに関して培養酸素濃度の影響を評価するものが多かった。本研究の検討により,重層化共培養組織,三次元凝集体での検討が可能であることが示された。また,細胞の組み合わせにより異なる膵星細胞の挙動が見られたことにより,多様な線維化モデル構築が可能となることが期待される。